コロナ禍で狭まる人間関係の中、必要になってくる「絵本の力」<長田弘・いせひでこ絵本原画展>

一律の教育の中で、子どもの豊かな言葉が剥ぎとられてしまう

 民俗学者の柳田國男は「こどもは過去を保存する」「こどもは言葉をつくりだす」と書いています。言葉を知らない子どもは体で表現をするために、泣くことや眠ることや見つめることなどを覚え、それらを過去として保存していきます。そしてそれが子どもの豊かな言語となるのです。  子どもたちは親からたくさんの豊かな言語や表現で育てられればいいのですが、それがさらに一律の教育の中で剥ぎとられて同じ言葉を話すようになり、つまらない大人ができてしまうのが現状です。  長田さんの生前最後の詩集『奇跡-ミラクルー』(みすず書房)の最後の句に「きみはまず風景を慈しめよ。すべては、それからだ」とあります。  子どもたちには自分を慈しみ、自分自身になりながら、そして何かを作っていってほしいのです。その手助けのために、私は絵本や詩を作っています。時代遅れだと言われても、これからも時間をかけてそれをやっていきたいと思っています。

これから絵本の役割は大きくなっていく

森に守られるようにたたずむ美術館

森に守られるようにたたずむ美術館。となりには宿泊できるコテージがある

 講演終了後、いせさんが会場からの質問に答えました。 ――いま社会人になったばかりの若い人たちが、あまり自分のことを話しません。彼らの言葉はどうなってしまったと思われますか。 いせさん:突出して目立ってはいけない、つまはじきになってはいけないと思っているのだと思います。それらは何一つ良い要素ではありません。でも中には敏感な人もいます。そういう人をうんと褒めてあげたいし、勇気づけてあげたいです。話せない人には、安心できる場所をつくってあげたいです。  本当は親や学校の先生がそれをできたらいいのですが、みんな忙しくてなかなかできないのが現状です。そこで人を育てるのが、本の役目なんだと思います。絵本は電子書籍にならずに、唯一紙の存在として生き残っています。これから絵本の役割は大きくなっていくと思います。 『風のことば 空のことば 語りかける辞典』は、短い詩の集まりです。どのページから読んでもよいのです。絵本の要素も詩集の要素もあるので、子どもから大人まで幅広い世代が読める本だと思います。会社の後輩などまわりの方との交流に、この本を贈ってはどうでしょうか。
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他者への想像力が失われつつある今こそ、絵本を
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「いせひでこ・長田弘 絵本原画展~あなたは言葉を信じていますか~」は、長野県安曇野市の「絵本美術館 森のおうち」にて、10月6日まで開催。
【開館時間】9:30~17:00(最終入館16:30)【観覧料】大人800円、小・中学生500円、3歳以上250円、3歳未満無料【休館日】毎週木曜日
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