結局、マスクを着ける理由は「
同調圧力」によるものなのだ。街を歩いているときに自分だけマスクを着けていないことへの罪悪感や、テレビを観ているとみんな着けているからといった理由からマスクを着けている。多くの人がマスクを着けていた動機は感染防止ではなく、「
行った先で、みんながマスクを着けている気がするから」という圧力によるものだったのだ。
つまり、仮にニュースでコロナの感染者が増えていることを知っていたとしても、周りの人がマスクを着けなくなったら「まぁいっか」と、自分もマスクを着けなくなる人は多いだろう。それは、とても
脆い意識であると言える。
少し意外だったが、人に感染させたくないから、自分が感染したくないからという理由との結びつきはそれほど現れていなかった。
ということは、日本においては、マスク着用を促すためには、「感染防止のために着けましょう」というメッセージよりも、
「みんながマスクを着用しています」というメッセージのほうが効果的だろう。
また極端な例えだが、県を跨いだ移動を規制しているときには、「県を跨ぐ移動をしないでください」という注意喚起と同時に、「本日の都道府県をまたいだ移動者0人」などのように、
同調圧力を促すようなメッセージを出していると効果的だったかもしれない。
最近テレビを観ていると、ソーシャルディスタンスをとりながらも、マスクを着けない光景が見られるので、
マスク着用の同調圧力は弱くなってきているのかもしれない。
これから、
GoToキャンペーンが東京発着にも適用されて、人の移動が活発化される可能性がある。地方のマスク着用率のデータは無かったのだが、東京都から地方に旅行に行った人は、
同調圧力から解放されて、マスクを着用しなくなる可能性が高い。そうなったときの、感染拡大の危険性が大いにある。
コロナに対する恐怖でマスクを着用しているわけではない以上、コロナの感染者数を報道し続けても、コロナに対する慣れからコロナ対策の気の緩みが出始める。すでに我々は
同調圧力から解放され始めているのかもしれない。
これ以上、感染を拡大させないよう、
同調圧力のためではなく、感染拡大防止のためのコロナ対策を実施していく必要がある。
<文/山本マサヤ>