トランプの走狗として米国益を優先させてきた安倍政権の継承
3年前の横浜市長選で「カジノ誘致は白紙」と言って当選した後、2019年8月にカジノ誘致表明をした林文子市長に対して、菅官房長官は強い影響力を持っていると見られている。市長選当確直後にも、菅官房長官がすぐにかけつけた
9月2日の会見で筆者が「米国の腰巾着政治」と叫んだのは、この藤木氏の発言を一部引用したといえる。藤木氏は「菅官房長官がハードパワーとしてカジノを横浜に持ってこようとしている」という断定は避けたものの、米国言いなりの安倍政権が横浜へのカジノ誘致を引き起こしたと言い切ったのだ。
菅官房長官の「たたき上げ」人生とは、大恩人の藤木氏を裏切り、第二の故郷で受けた恩を仇で返すような足取りでもあったのだ。藤木氏の盟友の小此木彦三郎・元建設大臣の秘書を10年以上務めた後、横浜市議を経て国会議員から官房長官にまで登り詰めた菅官房長官にとって、藤木氏は「後見人(育ての親)」のような存在であったからだ。
しかし菅官房長官は、藤木氏が反対するカジノ誘致の旗振り役となり、横浜を海外カジノ業者に“献上”する姿勢を崩していない。
菅官房長官の第二の故郷・横浜市で、9月4日から始まったカジノ誘致の是非を問う住民投票署名活動
菅官房長官が支えてきた安倍政権はトランプ大統領の要請に沿ってカジノ関連法案を成立させ、横浜などへのカジノ誘致を進めることで、間接的にトランプ大統領のスポンサー役となろうとしてきた。そして菅官房長官もまた、米国益を優先させてきた安倍政権の継承を宣言しているともいえる。
第二の故郷・横浜にカジノ業者が参入してくることに大恩人が猛反対していても、“米国腰巾着政治”の安倍首相に盲従することで総理ポストを射止めた「ミスターたたき上げ」こと菅官房長官。お世話になった恩人や地域を平気で切り捨てながら、無表情のまま権力の階段を登り詰めていく彼には、冷徹非情な「鉄仮面」という呼び名がぴったりなのかもしれない。
<文・写真/横田一>