ユーミンの「醜態」と評価をめぐる地殻変動<史的ルッキズム研究7>

ユーミンに吐かれた「暴言」

 
白井聡

Facebook上で謝罪した白井氏

 この記事が掲載される頃には旧聞になっていると思いますが、京都精華大学の政治学者・白井聡氏による松任谷由実批判が、物議をかもしました。  歌手の松任谷由実氏がラジオ放送のなかで、安倍首相の辞任会見に触れ、「見ていて泣いちゃった。切なくて」と感想を述べたことに対し、白井氏は自身のFacebookで強く非難します。「荒井由実のまま夭逝すべきだったね。本当に、醜態をさらすより、早く死んだほうがいいと思いますよ。ご本人の名誉のために」と書いたのです。  この発言については、さすがに大学の品位にかかわる問題になるので、京都精華大学が白井氏に厳重注意を行い、本人も発言を謝罪しています。「死んだほうがいい」発言についてはこれで一件落着です。

ユーミンに「醜い」と言うことの新しさ

 ところで、発言が撤回された上でも心に残るのは、松任谷由実氏が醜態をさらしているという指摘です。私の記憶が正しければ、松任谷由実氏がこれほど強く批判されたのは、おそらく初めてのことです。10年前であれば、こんなことはぜったいに起きなかったことです。彼女のファンはたくさんいましたし、ファンでない人であっても、彼女を指して「醜態」とまで言う人はいませんでした。  ああいう歌が好きな人もたくさんいるんだから、わざわざ意地悪な指摘をすることもないだろうと、ほっておかれたのです。「多くの女性に支持されるユーミン」という構図に手を突っ込む人はいませんでした。しかし今回、白井氏はこの構図に異を唱えたのです。ユーミン醜いぞ、と。これはとても重要で画期的なことだと思います。
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文化人の評価をめぐる変化
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