高橋一生似のイケメンだが……。
“30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい”……。そんな揶揄からも分かるように、男性にとっても30歳は一つの節目となる年齢だ。”20歳まで童貞だと妖精になれる”という言葉もあるが、初体験年齢は徐々に遅くなってきており、20歳で未経験、というのはそこまで珍しいことではなくなった。
しかし、30歳までとなると話はまた別だ。最も恋愛しやすい年齢はすでに終わり、そろそろ周りも結婚し始める年頃に、自分はまだ「童貞」。その当人は何を感じ、何を悩むのか。
大田原純平さん(仮名・29歳)は地方国立大学出身のITアナリストだ。雰囲気はサブカル系といった風で、傍目に見てもオシャレだ。大学の偏差値も低くなく、年収も平均以上。しかし、29歳の彼はいまだに童貞だという。
「今までの人生で、彼女がいたことがないわけではないんです。でも、どの子も2ヶ月と持たず別れてしまいました。友人たちからも”変わり者”だと言われるので、そのせいだと思います。僕としては普通のつもりなんですけど」
そう話す大田原さんは、とにかく早口だ。少し落ち着きがないような感じもあり、世の女性が29歳の男性に求める人物像とは、少し乖離しているかもしれない。しかし、顔は平均以上に整っていて、服装のセンスもいいので、一体どうしてそこまで交際が続かないのか、そしていまだに童貞を貫いているのかが気になる。
「今まで3人の女の子と付き合ったのですが、キス以上の関係が上手くいったことがありません。そもそも最初に機会があったのも20代後半になってからで、その時にはもう、行為の時にどう振る舞っていいのか分からなくなってしまっていました。
自分に何が求められているのか分からなくてパニックになっているうちに、使い物にならなくなってしまう。行為が上手くいかないとすぐに振られてしまうので、ますます自信がなくなってしまいました」
世の中の多くの男性は、行為中の振る舞いについてはアダルトビデオで研究したりするものだが……。平均以上の外見に恵まれていながら、そうまで彼を自信喪失させているのは性行為のセンスのなさではなく、もっと内面的な部分にあるようだった。
「AVを全く見ないわけではないけれど、そもそも行為中のあのロマンチックな雰囲気がどうしても苦手で……マネなんてできません。それ以前に、自分という人間を女性に理解してもらうことをとても難しいことだと感じています。
自分がどう変わっているのかは自分では上手く説明できませんが、とにかく女性からはよくオネエか珍獣か、という扱いをさされることが多いです」
話していると、たまにこちらの意図と違う返答が返ってくることがあり、若干コミュニケーションが一方通行なように感じることがある。男女の間柄では往々にしてあることではあるのだが、その上での言葉選びや話すスピード、首元に手を添えるようなちょっとした仕草などすべてを含めると、たしかに大田原さんの振る舞いは少し変わった人、という印象になる。