今のところ、休業補償を受けている被雇用者の内の120万人が最終的に失業者になると推測されている。しかし、この予測は新規の感染拡大を想定しなかった上での推計だ。ところが、実際には新規の感染者が急増し今年下半期の景気の回復もないという事態になりつつある状況では120万人の失業者をさらに上回る失業者が出て来る可能性がある。
パンデミックの前の時点で失業者はすでに380万人いた。それに予測されている120万人の失業者を加えると500万人。それはスペインの就労人口2300万人に対して22%の失業率となる。ところが、実際に120万人を超える失業者が今年下半期に出て来るということになると、失業率は24-25%まで上昇する可能性が十分にある。それは4人に一人が失業者になることを意味する。そうなると、バブル景気が崩壊した時の失業率にまで逆戻りすることを意味するようになる。
しかも、現在の連立政権は過半数の議席を持っていない。案件ごとに他政党との交渉が必要だ。連立政権を構成している社会労働党と左派ポピュリズム政党のポデーモスとの間で折々全く異なった政策を口にしたりもしている。現政権が一丸となってこの危機を乗り越えるだけの手腕があるようには見えない。
<文/白石和幸>