秋葉原・万世橋のランドマーク「SEGA」が8月末で閉館に。実は5店とも「家電店跡」だったアキバのセガ

秋葉原のセガ、タイトー、東京レジャーランドも「家電店」の跡

 今回閉店する「セガ2号館(GiGO)」、新たに開業した「セガ5号館」がいずれも家電店跡であったのはこれまで述べた通りだが、実は秋葉原にあるそれ以外のセガ3店も家電店の跡。しかも全てが、かつて秋葉原に10館ほどの店舗を展開していた家電量販店「サトームセン」関連の物件であった。
セガ2号館の店頭に掲げられた閉店の挨拶

セガ2号館の店頭に掲げられた閉店の挨拶。
周辺にはセガの店舗が1号館から5号館まで5店舗もあった。

 サトームセンは1946年に創業、1980年代には首都圏各地に展開する中堅家電量販店へと成長したが、経営不振により「ヤマダ電機」グループとなり、2007年末までに全ての店舗がヤマダ電機に転換・もしくは閉店、2013年に同社に吸収合併された。  そのうち、中央通り沿いの「セガ秋葉原3号館(旧クラブセガ)」(2010年開業)は、「サトームセン本店」の跡。2009年には、通り魔事件により歩行者天国が一時中止となった秋葉原活性化のために設けられたライブ・イベントスペース「LIVE PARK In AKIBA」として活用されたこともあり、ここで行われたライブを見た記憶がある人もいるかも知れない。
「セガ秋葉原3号館」

「セガ秋葉原3号館」はサトームセン本店跡。(クラブセガ時代に撮影)
店を入ってすぐにあるエスカレーターはいかにも家電量販店の雰囲気だ。

 また、JR秋葉原駅電気街口を出てすぐの場所にある「セガ秋葉原4号館」(2010年開業)は、「サトームセン6号店」の跡。サトームセンは2006年に閉店しており、セガ出店まではメガネスーパーが出店していた。なお、サトームセンの出店以前は家電量販店「ロケット」(現在「ロケット」は総武線沿いでアマチュア無線や部品などを中心に販売)など複数の家電・パーツ店などが入居する「秋葉原駅前ビル」であったという。2020年現在は「AKビル」の名前で、1階にセガとコメダ珈琲店のコラボ店舗「やわらかシロコッペ」が併設されているほか、高層階には大手メイドカフェ「めいどりーみん」や焼肉チェーン「牛角」などが出店している。  建物はかなり古いものの、最近新たに大手不動産会社「いちご」のロゴがビル外壁に取りつけられたため、建物が同グループの所有になったものと思われる。
セガ秋葉原4号館

JR秋葉原駅電気街口にある「セガ秋葉原4号館」。
隣接地にあったツクモ・ヤマダとともに「サトームセン」の跡だった。
なお、写真は2017年撮影。駅ビル建設により現在この角度からは建物を見ることはできない。

 そして、中央通り沿いの老舗ゲームセンター「セガ秋葉原1号館(旧ハイテクランド・セガ秋葉原)」の建物名も「サトービル」。このサトーもかつての所有者「サトームセン」に因むものだ。もともとこの建物で営業していたのは家電量販店「シントク」の本店で、1992年にセガが入居し、1993年のシントク倒産後はサトームセンの所有となったが、現在まで30年近くに亘ってセガが営業を続けている。
「セガ秋葉原1号館」(左)と「セガ秋葉原3号館」(右)。

中央通りで30年近く営業を続ける老舗ゲーセン「セガ秋葉原1号館」(左)とサトームセン本店跡の「セガ秋葉原3号館」(右)。
1号館はかつて家電量販店「シントク」の店舗だった。

 実は、家電量販店跡へのゲームセンター出店はセガ以外でも多く、中央通り沿いの「タイトーステーション秋葉原店」や総武線沿いの「東京レジャーランド秋葉原店」もサトームセンの店舗跡に出店したものだ。  秋葉原の大型ゲームセンターたちは、2000年代前後の「秋葉原のサブカル化」の波に乗って「サトームセンをはじめとした中堅家電店の経営不振」を利用するかたちで成長を遂げたものであったといえよう。

旧サトームセンのヤマダ・ツクモも閉店-変わるアキバ、注目される「一等地の空き地」

 さて、サトームセンといえば、秋葉原のサトームセン大型店跡のうち唯一ほぼ全館が「家電量販店」として営業を続けていた「ツクモ秋葉原駅前店(旧店名:ヤマダ電機LABI秋葉原パソコン館)」もセガ2号館と同じ8月30日に閉店することを発表。同日に秋葉原の一等地にある2つの「大型家電量販店跡」が空き店舗となってしまう。
ツクモ秋葉原駅前店

8月30日に閉店する「ツクモ秋葉原駅前店」。セガ4号館に隣接する。
1月までは「ヤマダ電機LABI秋葉原パソコン館」で、グループのツクモの店舗となったばかりであった。

 秋葉原では、新型コロナ禍により免税店「ラオックス本店」が日本人向けのホビー特化店舗「アソビットシティ」業態へと転換したほか、地域に複数店を構えていたゲームセンター「Asobox」が経営破綻により閉店、さらに中小飲食店の閉店も続くなど、この数ヶ月で様々な変化が起こっている。  世の中が大きく変わっていくなか、秋葉原の一等地に生まれた2つの大型物件はどういった活用がなされることになるのであろうか。ツクモ跡地の隣にあり、建物がかなり古い「セガ4号館」も含めて将来の行方が注目される。
セガ2号館の店頭に掲げられた閉店告知

セガ2号館の店頭に掲げられた閉店告知。
跡地に出店する店舗などは発表されていない。

<取材・文・撮影/若杉優貴(都市商業研究所)>
若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体『都市商業研究所』。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「@toshouken
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