失敗が相次ぐオンラインでの交渉。成功率を大きく上げる「自己開示」の黄金比とは

好感度を上げる自己開示の黄金比

 つまり研究からは、自己開示を事前に行うことで、交渉の成功率や交渉成功時の取引金額が高くなるということがわかった。  リモートでの交渉によって、打ち合わせの効率は高まったが、その効率のよさを追求しすぎて雑談をすることを疎かにすると、交渉の成功率は確実に下がってしまう。交渉の前には最初に話を切り出すなど、話の主導権を握って雑談を通して自己開示を行うことが重要だ。  ただ、自分だけ自己開示をすれば良いというわけではない。コミュニケーションにおいて、自分に対する好感度を最大限にする、自己開示の黄金比が存在している。それが、6(自分):4(相手)だ。  イメージとしては、自己開示をしたあと相手に質問をして、相手に話をさせる。そのような相互自己開示が自分への好感度を高め相手に関する情報も獲得して、交渉の成功率を高めることにつながるのだ。

不自由さをアドバンテージに変えよう

 我々のビジネスを取り巻く環境は着々と変化している。変化によって生まれた不自由さに慣れてしまうのか、不自由さを乗り越えていくのか、新しい時代が始まった初期にどう知識を集めて行動を起こすのかが重要となる。  海外の論文などを見ていると、次の時代を見越したさまざまな研究が行われ、知見が公開されている。それに基づいて最初に行動を起こすことで、あとから行動を起こした人では埋めることの難しいアドバンテージを得ることができる。  ぜひ、ファーストペンギンとなって、可能性を切り開いていただきたい。 【参考資料】 『影響力の武器 実践編』N・J・ゴールドスタイン、S・J・マーティン、ロバート・B・チャルディーニ、安藤清志 <文/山本マサヤ>
心理戦略コンサルタント。著書に『トップ2%の天才が使っている「人を操る」最強の心理術』がある。MENSA会員。心理学を使って「人・企業の可能性を広げる」ためのコンサルティングやセミナーを各所で開催中。
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