例えば、部下が言うことを聞かなくて自分がイライラしているとしよう。そのときに課題の分離を行なうと、
部下が言うことを聞くかどうかは部下の問題であり、
イライラするかどうかは自分の問題となる。
普通であれば、どうすれば部下が言うことを聞くようになるか頭を悩ませるところだが、
人を変えるのは簡単ではない。むしろ、
人は自分が変わろうと思わない限り、変わることはできない。たしかに部下が言うことを聞くようにすることは大切だが、それよりも
優先的に解決すべき問題は「自分の問題」である。
ここでは、自分がイライラしてしまうことだ。それを解決することで、冷静に相手の課題と向き合うことができる。部下が言うことが聞かないことにおいて、問題は部下だけにあるのではなく、自分にも問題がある。そして、
コントロールできることを改善させることが問題解決の近道だ。相手を変えるのは、自分の問題を解決してからだ。
アドラー心理学では、相手の課題に踏み込むことをよしとしていないが、私の考えではほかの心理学と組み合わせることで、「自分の課題を解決したあとに」なら、相手の課題に踏み込んでもよいのではないかと思う。
または、もしかしたら、自分の問題を解決して人間として成長することで、自然と部下も内側から「指示に従おう」という気持ちが起きて部下の課題も解決されるかもしれない。
まずは、相手の課題に踏み込まないために、部下が言うことを聞かないという
「相手の課題」を解決することを諦めるのだ。そして、問題を解決するための
「自分の課題」を明確にして、解決に取り組もう。
私の実体験では、このように課題の分離を頭のなかで行なった瞬間、頭のなかがスッキリして、心がフラットな状態になる。
感情の支配から解放される感覚を味わえるのだ。
読者の皆さんも怒り、不安などの心の反応があった場合は、まずは「自分の課題はなんだろう?」と考えてみてほしい。
自分ではどうにもできないことに干渉して精神力を浪費したり、
ストレスが溜まっている人が多いからだ。
他人の人生に干渉するのではなく、
自分の人生と、自分が考えるべき課題だけにフォーカスすることで、人生は自分の行動ひとつで変化させることができる。「
自分の人生は自由にハンドリングできる」ということに気づけるだろう。
【参考資料】
『嫌われる勇気』岸見一郎ほか