ここまで「クソリプ防止機能」について批判的に検討してきたが、もちろんこの機能には有意義な点もたくさんある。リプライが届かなくなるということは、それだけ攻撃的なつぶやきから身を守れるということ。ブロックの手間や時間が少なくなるというのも、善良なユーザーにとっては大きい。誹謗中傷による被害を減らすことに貢献できるかもしれない。
さらに、昨今は著名人に限らず一般人であっても「クソリプ」は寄せられる。私のような下っ端ライターですらその対象になるのだから、もはやクソリプは私たちの日常に深く影を落としているといえよう。
こう考えると、「クソリプ防止機能」はリスクが高いとはいえ、導入される必要はあったのだろう。
しかし、リプライ制限をかけなければならないほどユーザーのモラルが危ぶまれる現状は、そもそも根本的な部分から変えていかなければならない。社会全体としてSNSの使い方を見直すのはもちろん、教育現場でも腰を据えてSNSについて指導する必要がある。
今回の「クソリプ防止機能」リリースは、多くのリスクを踏まえてもそれを上回る対策の意義があると判断されたことを端的に示している。ある種このように強引な対策が導入されたことは、運営側からのユーザーに対する警鐘であると認識するべきだろう。
<文/齊藤颯人>