モチベーションファクター株式会社代表取締役・山口博氏
山口:「大賛成です。
Why活についても、教えていただけますか」
松本:「文字通り、ひとつひとつの仕事について、
なぜ(Why)その仕事をやる必要あるのか、
その仕事の目的は何かということを、問いましょうという活動です。リーダーも自分自身に問いかけて、メンバーに語るときには、なぜかということをしっかりとコミュニケーションをとる。メンバーも、その仕事の目的は何かということを常に問いかけ、それが腹落ちしないと感じたら、気軽に聞ける状態になることを目指しています。『
イシューの下ではフラット』のポリシーで、立場の上下を超えて、『Why?』を問い合えるようになるといいですね」
山口:「『目的を確認しましょう』ということ説明して、お互いに頭でわかっているつもりになっていても、実際に行動に移せないということも少なくありません。
Why活というイベントに仕立てて行動を誘発する仕組みをつくられたわけですね」
松本:「これも、
職場共通の会話の型を導入しようという発想です。今、Why活を日常会話に自然発生させる、問い掛けのキラーフレーズを、メンバーに発案してもらっています」
山口:「本社の一部のメンバーが頭で考えたフレーズを押しつけても、なかなか浸透しないものです。
現場に近いメンバーが肌感覚で生み出したフレーズにこそ、組織を動かすエナジーがあるように思えてなりません」
松本:「ピラミッドの概念も、Why活も、メンバーひとりひとりの能動性を高めることに役立ち、支社の生産性を上げること、そしてそれが働きがいの向上に役立つと確信しています」
山口:「在宅勤務が恒常化し、新しい働き方を模索するなかで、『コミュニケーションが滞っている』『お互いの関係が希薄になった』という声が挙がっています。これらの型は単純であるがゆえに、誰でも特別な準備を必要とせずに行動に移しやすい、極めて実践的な手法と言えます。『結論』『理由1』『理由2』『目的』というようにひとつひとつのパーツに分解し、なおかつ、ひとりひとりの行動に切りわけているので、
特にリモート時代には即した手法ではないでしょうか」
松本:「リモート環境には、コミュニケーションの密室化と、質のばらつきを招くリスクがあると思います。
コミュニケーションの効率と質を担保するために、よい型を持ち、それを多くのメンバーが日常的に使える状態をつくっていきたいと思います。
<対談を終えて>
難しいことを難しく語る人は、大企業になればなるほど、多くなる。しかし、
理屈や理論は頭ではわかったが、行動や話法で繰り出せなければ、元も子もない。松本さんが実践していることは、本連載タイトルである「分解スキル・反復演習」のモデルなのだ。そしてこの実に
単純で、愚直な行動の繰り返しこそが、味の素グループを有数のエクレセントカンパニーに仕立てているひとつの、しかし重要な要素であるに違いない。(モチベーションファクター・山口 博)
【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第201回】
<取材・文/山口博>