開催・中止どちらも大損害。東京五輪問題の着地点は?

中止でも莫大な損失は避けられない

 簡素化の懸念を裏付けるように都知事選が終わった翌日6日、森喜朗東京オリンピック組織委員会会長は記者会見で「IOCから開会式などを簡素化するのは難しいと伝えられた」と発言した。 「簡素化できないから『中止もありうる』という可能性を示唆しているのかもしれません」  中止になったとしても、莫大な損害が生まれると言われている。SMBC日興証券の試算によると、GDPベースではマイナス1.4%、7.8兆円減ると出ている。 東京五輪中止の場合のGDPへの損失(試算) ●訪日外国人観光客減少 1兆3100億円 ●日本人の海外旅行減少 6000億円 ●中国への輸出減少 1兆500億円 ●中国からの輸入減少 4兆5000億円 ●国内の消費控え 9兆8800億円 ●五輪の大会運営費 6600億円

目に余る五輪の政治利用。選手たちは意外にも冷静

 さらに小林氏は、五輪が政治利用されていることに憤りを表す。 「僕が一貫して感じていることは、小池さんに限らず政治家たちのスポーツの軽視です。選手たちと写真を撮って、彼らの話を親身になって聞いているようにアピールしていたのに、スポーツ界のパワハラ、セクハラ問題を解決しようとしなかった。政治家はスポーツをよりよくすることに関心がない。五輪は、国内政治への不満のガス抜きとして利用されるだけなのかと思います」  センバツ野球、夏の甲子園、高校総体、国体、相撲も次々に中止に追い込まれ、スポーツはウイルスリスクを考えねばならない時代となる。オリンピックだけは特別だからやる、というのも筋が通らなくなってきている。 「よく言われるのが『オリンピックが中止になったら選手がかわいそうだ』という意識です。これはほぼ全員が思っていますよね?でも、当の選手はどうかというと、『私はオリンピックがあろうがなかろうが競技は続けますよ。相手はウイルスだし、仕方ない』といった意見も多いのです」  選手たちが冷静に時代を読んでいることが窺える。 「コロナの時代に『こんな新しいオリンピックを提案します』という志があるなら僕は大賛成します。でもそうじゃないなら選手たちをこのコロナの危険の中で利用するのは勘弁してほしいですよね」 「アスリートファースト」が繰り返し叫ばれる東京オリンピック。コロナ禍を経ての開催の可否は果たしてどうなるのか、今後さらに注目される。 SBJ03【小林信也氏】 スポーツライター。’77年より活動開始。現在、週刊新潮で「覚醒の時アスリート列伝」を連載中。近著に『大谷翔平「二刀流」の軌跡』(マガジンランド) <取材・文/別冊SPA!編集部>
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