リニア計画「推進」の吉村洋文・大阪府知事と「見直し」の川勝平太・静岡県知事との違いは?

川勝知事と小泉環境大臣がリニア工事見直しで面談!?

南アルプス国立公園内の環境破壊を懸念する川勝知事

7月22日の大井川上流視察後の囲み取材で、南アルプス国立公園内の環境破壊を懸念する川勝知事

 冒頭の会見では、上記のような川勝知事のリニア見直し論を吉村知事にぶつけたのだが、コロナ後の時代に突入してもコロナ前と同様の推進論しか返ってこなかった。  川勝知事は小泉進次郎・環境大臣との連携にも意欲的だ。7月21日の大井川上流での現地視察では、「(南アルプス)ユネスコエコパークの資源に影響を与えないように」という小泉環境大臣の意見を引き合いに出したうえで、「地下水位が最大で300m以上低下」することが生態系に大きな影響を与えるとして「トンネル工事が認められない方向性もある」と記者団に語った。  そこで「エコパークへの影響で小泉大臣と意見交換をする考えはないのですか?」と筆者が聞くと、川勝知事は笑顔を浮かべながらこう答えた。 「それはもう大好きですからね、気持ちのいい青年はですね。(環境)大臣になっていただいて、いま黒のものを白に言ったり、横のものを縦にしたりといったことが横行しているではないか。(霞が関には)似たような体質があります。そういう中で、正論を吐く一人ではないかというふうに思っていて、たいへん私としてはお目にかかりたいと思っています」  一方の小泉環境大臣も「(川勝知事から)面談の依頼があれば、喜んでお受けしたい」(6月30日の会見)と前向きの姿勢だ。  コロナ後における、リニアをめぐる対決の構図が鮮明になってきた。川勝知事ら環境・採算重視の「見直し派」vs.自民党議員や吉村知事など、コロナ前の計画「推進派」というものだ。今後の両者の攻防が注目される。 <文・写真/横田一>
ジャーナリスト。8月7日に新刊『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)を刊行。他に、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)の編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
1
2
3
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会