熊本豪雨で考える日本のダム。川辺川ダムがあれば被害は防げたのか?

球磨村では川の氾濫で多数の家屋が全壊。堤防付近はいまだ残骸が山積みになっている
熊本豪雨で考える日本のダム
ダムがあれば大規模水害は防げたのか? 今、大きな論議を呼んでいる。その発端は、7月3~4日にかけて日本を襲った豪雨災害だ。停滞する梅雨前線の影響で、各地で河川が氾濫。全国の死者は計77人にのぼっている。うち65人もの死者を出したのが熊本県。それもすべて同県を流れる川流域での河川の氾濫が原因だったのだ。最も多くの死者を出した人吉市在住の50代男性が振り返る。
「特大のバケツをひっくり返したような雨で4日午前8時すぎに球磨川が氾濫。避難しようと外に出たら膝上まで道路が浸水していました。軽トラで逃げようとしたら、何度も濁流に流されかけて……あのときの恐怖は忘れられません」
同じく多くの死者が出た下流の球磨村の60代女性は濁流のなか、3度の避難を余儀なくされた。
「避難指示が出て指定避難所に行ったら、その避難所が浸水。近所の2階によじ登って避難したら、2階にも濁流が迫ってきた。そこに子供用のプールを浮かべて消防士の方が助けにきてくれたのですが、消防士の人と2人で乗ったら沈んでいく。高台まで引っ張り上げてもらうまでに水をかき出し続けて精根尽き果てました」

最も広範囲に被害が発生した人吉市では西瀬橋が流失。各地で頑強な橋が破壊された

八代市で唯一被災した坂本町では町が一つのみ込まれたような被害に(写真提供/峯苫医院・皆吉秀太氏)
川辺川ダムがあれば暴れ川である球磨川に流れ込む流量が抑制できた?
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