「医療崩壊」を招くのは「PCR検査拡充」じゃなく政府の無策。コロナ第2波で病院倒産が加速する

東京オリンピック開催はワクチンの開発次第?

 ただ、今回の新型コロナ感染急増は、増加に比べて重症者の割合は少ない。そのため、ウイルスの伝播力が高まったのは“弱毒化”したためとする楽観的な言説が広がっているが、前出の久住氏はこれをにべもなく否定する。 「確かに、英国では第1波で6%ほどあった致死率が、最近は1.5%まで下がっています。原因としては、①ウイルスの弱毒化、②有効な治療薬や医療現場のマネジメント向上、③PCR検査の拡大が考えられるが、どれが本当の理由かはわかっていません。根拠なく“弱毒化”説を妄信すれば、根本的対策を誤ることにもなります。これまでは日本での死者数が少ないこともあり、厚労省のなかには『コロナは50歳以下の人には、ただの風邪』と信じている医系技官すらいて、そもそも対策を講じる気がないのではないか。いまだにPCR検査数も圧倒的に足りず、検査数が少なければ、経路不明者が多くなり、その結果、感染は拡大していきます」  WHOの集計では世界の新規感染者数は中南米やアジアでの広がりを受け、7月24日は一日あたり28万人を超え、過去最多となった。世界的に感染拡大に歯止めがかからないなか、東京オリンピックが開催できるかどうかは、やはりワクチン開発がカギを握っている。  400万人が感染、14万人が死亡し、もっともコロナの被害を受ける米国はワクチン開発計画を「ワープ・スピード作戦」と名づけ、100億ドル規模の予算を確保。ワクチン開発でも米中は対立し、米国はテキサス州ヒューストンの中国総領事館が新型コロナワクチンのスパイ活動の拠点だったとして、24日に閉鎖させた。各国がシノギを削って開発競争を繰り広げているが、上氏は「ワクチンは来年」と分析する。 「英国のアストラゼネガ社、中国のシノバック・バイオテック社などが、3つあるフェーズの最終段階の臨床試験まで進んでおり、トップを走っている。だが、どの製薬会社のワクチンが有望かは現時点では何とも言えない。というのは、臨床試験の初期段階では、数百人の被験者で十分だが、最終段階では数万人規模の被験者にコロナに対する免疫力が生じたかどうかを実際に確かめなければならないから。つまり最終段階に試験が進んだからといって開発が成功するとは限らないのです。奇跡的にうまくいったとしても、実際にワクチンを接種できるのは来年の後半になるでしょう」  では、“日の丸ワクチン”の状況はどうか。 「最終段階の臨床試験はコロナに感染している人が対象です。日本は世界と比較すれば、まだ感染者数は少ない。感染の抑え込みに成功した中国は、感染拡大している外国で臨床試験を行っています。日本企業には、そこまで大規模な臨床試験を行う力はないので開発は難しいでしょう」(久住氏)  まずは「第2波」を乗り切ることで、東京オリンピック開催に希望を繋げたいところだが……。

インフルエンザとのダブルパンチを警戒

 第2波の収束が遅れたまま、冬に突入すればインフルエンザ流行と重なる可能性が高まる。上氏は「毎年、日本ではインフルエンザに1000万人以上が感染しますが、今年は病院でコロナ患者として扱われてしまうことも。事前にインフルエンザのワクチン接種とPCR検査をおすすめします」とアドバイスを送る。 <取材・文/週刊SPA!編集部 写真/産経新聞社>
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