都知事選中の6月25日、都知事の行政視察でとしま区民センターでの意見交換会に出席した小池知事。豊島区長と並んで臨んだ囲み取材でコロナ対策強化について聞いたが、無言のままエレベーターに乗り込んだ
ちなみに都民に警戒を呼びかける東京アラートが初めて発動されたのは、感染者が34人となった6月2日のこと。そして2期目の都知事選立候補を表明した前日の6月11日に東京アラートを解除。都内の休業要請の目安となるロードマップも「ステップ3」に戻して外出自粛要請のレベルを緩めた。「小池都政のコロナ対策が成功して第一波を抑え込んだ」と印象づけたうえで、2期目を目指すと出馬表明したのだ。
しかし都政ウオッチャーは、この“小池劇場”を冷ややかに見ていた。
「感染者数が減って東京アラートが解除されたまま、都知事選の告示日(6月18日)を迎えようとしたが、また感染者数が増加に転じてしまった。しかし、いったん解除した東京アラートが再び赤に戻ると、『小池都政のコロナ対策は不十分だった』と批判されかねない。そこで小池知事は、数値目標をなくして東京アラートが再点滅しないようにしたのは間違いない。『何のための東京アラートなのか』という批判が他候補から出たのは当然でした」
まさに小池知事は、感染拡大の兆候を隠蔽・改竄したに等しい。「選挙(自分)ファースト・都民二の次」と批判されても仕方がない。本来ならいったん緩めたコロナ対策を再び強化すべき危うい時期だったというのに、東京アラート解除をした状態を放置した。
このせいで、都民の間に「外出自粛を緩めても大丈夫」という気の緩みが広がったのは間違いない。この都知事選中の甘い対応が投開票前の感染者数100人超えを招き、小池知事再選後には過去最高の感染者数を何度も更新することになったのだ。
感染拡大の責任を棚上げし、「都民の努力不足」に責任転嫁!?
2日連続で感染者が240人を超えた7月10日、小池知事が2期目初の定例会見でどんな釈明をするのかが注目されたが、ここで口にしたのは「都民の努力不足」と言わんばかりの責任転嫁だった。「東京問題」を解決する意欲が感じられない小池知事の弁明は、次の通りだ。
「みなさま方に改めて申し上げますと、いま出ている数字もやはり2週間前の一人ひとりの行動がこのような形で数字になって表れているということは、ずっと変わらないわけですね」
「みなさんが気をつけていただき、経営者としても気をつけていただいて、新しい日常を作っていくという、その過程でございます」
本当なら「東京アラート」を赤に再点滅させて都民一人ひとりと警戒心を共有するべきだったのに、それをしなかった自らの職務怠慢を棚に上げたのだ。