日本にタピオカティを持ち込んだのは台湾人歌手だった! ブーム前夜、「日の目を見る前のタピオカ」

人気が出すぎて過労で倒れる

 タピオカがまだ無名の頃から、販売をしていたアリス氏。「台湾茶舗」という名前のキッチンカーで販売していたようだが、瞬く間にその名は全国に広まることになった。ただ、2016年当時、爆発的に人気になったのを機に、忙しくなりすぎて、倒れてしまったという。 「16年11月、急に目の前が真っ暗になり、なにも見えなくなってしまい、救急車に運ばれるという騒動になってしまいました。この時に、体調を崩したのがきっかけで、一旦お店は畳もうと決意しました。このまま続けていては、いつか死んでしまうのではないかと不安になったのと同時に、もう疲れたと思いました」  一時休業していたが、体調が回復してきたのが、2017年頃。17年4月に再度、キッチンカーでの販売を再開したそうだ。半年近く空いているのに、その時飛び込んできたのは、驚きの光景だったようだ。 「再開場所は、埼玉の野球場でした。そこには、たくさんのキッチンカーが並んでいて、その中に混ぜてもらうことができました。そこで驚いたのが、半年も空いていたのに、以前来てくださったお客さんが、わざわざ球場まで来てくれて、『アリスさんのタピオカ楽しみにしていました!』と言ってくださいました。サプライズはさらに続きます。他のキッチンカーには、人はほとんどいないけど、私のところには大行列ができていました。日本にも徐々にタピオカが浸透してきたんだなと思った瞬間でした」

苦労の末に、ライセンス使用の問い合わせが殺到するまでに

 ところが、17年10月には再び休業することを選択したアリス氏。やはり体調を再び壊してしまったという。ただ、18年に入る頃には、各方面から大量の問い合わせがあったようだ。その問い合わせとは。 「辞めた後、タピオカ店を開業したいから、アリスさんのライセンスを使用したいという方やアリスさんのタピオカの作り方を教えてほしいという方まで、タピオカに関係するお店を開きたいという方が一気に増えました。18年はまさにタピオカブームが爆発する前兆になっていた年だったので、今から振り返れば、納得です」  17年に閉店したタピオカ店だったが、結局アリス氏は、タピオカが好きで、周りからの期待の声もあって、2019年に銀座で再開した。ただ、2020年4月にコロナで閉店になったため、今後はインターネットでタピオカを販売しようとしているようだ。ブームの先駆的存在のタピオカを味わえる日が、再び来たのだ。 <取材・文/村瀬将輝>
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