気象庁サイト「広告掲載」、背景に厳しい財政状況。災害続発の中、少ない気象関係予算に違和感

広告と正確な情報の狭間で

 気象庁のホームページに、ウェブ広告が掲載されるということで、二つの感想を持った。一つは予算不足への嘆き。もう一つは不適切な広告が掲載されるのではないかという危惧である。  今回、気象庁が募集しているのは運用型広告の業務委託である(参照:企画競争実施の公示)。運用型広告は、現在主流の広告手法で、リアルタイムで入札額や広告内容を変更して改善しながら運用するものだ。  身近なところでは、Google の広告や、Youtube の動画広告などが該当する。閲覧者に合わせて、広告内容を変化させる広告も多い。古い広告のように枠を買って固定の内容を表示するものとは違う。掲載内容はめまぐるしく変わり、閲覧者によって内容が異なることが予想される。  問題になるケースは、いくつか思い浮かぶ。  災害情報を見に来た人に、災害の恐怖をあおり、効果のない商品や、疑似科学の商品を売りつける広告が掲載される。特定の政党や宗教を推奨する広告が掲載される。幅広い年齢層が見に来る場所に、年齢制限がある広告が掲載される。  運用の際に、どこまでコントロールがおこなわれるのか分からない。また気象庁側で、その内容をどこまで精査できるのかも不明だ。国民が正しい情報を求めて来る場所から、不適切な情報が発信される危険性は指摘されてしかるべきだろう。  公共性ということを考えた場合、問題が発生するのではないか。適切な予算があれば、こうした施策も出てこなかったのではないかと考えてしまった。 <文/柳井政和>
やない まさかず。クロノス・クラウン合同会社の代表社員。ゲームやアプリの開発、プログラミング系技術書や記事、マンガの執筆をおこなう。2001年オンラインソフト大賞に入賞した『めもりーくりーなー』は、累計500万ダウンロード以上。2016年、第23回松本清張賞応募作『バックドア』が最終候補となり、改題した『裏切りのプログラム ハッカー探偵 鹿敷堂桂馬』にて文藝春秋から小説家デビュー。近著は新潮社『レトロゲームファクトリー』。2019年12月に Nintendo Switch で、個人で開発した『Little Bit War(リトルビットウォー)』を出した。
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