飲食店のコロナ廃業が止まらない![7月危機]閉店ラッシュのカウントダウン
緊急事態宣言や東京アラートが解除され、飲食店に客足が戻りつつある。だが、自粛期間中の損害はボディブローのように徐々に効いており、むしろ7月以降の閉店が加速するというのだ。店主たちの嘆きの声に耳を傾けたい。
6月中旬に「東京アラート」が解除され、接待を伴う飲食店やライブハウスも営業を認められた。これにより全国的に休業要請が全面解除となったわけだが、コロナ禍で大きな打撃を受けた飲食店が負った傷は予想以上に深いようだ。
「マスコミが“第2波到来か”と煽ったこともあり、新規感染者数が多い日は今もキャンセルが相次いでいます。食材もどれだけ仕入れればいいか予測が立てられず、大半が無駄になる日もある」
こう嘆くのは、新橋にある居酒屋の店主だ。リモートワークが終了しオフィスに人が戻っても、飲み屋に繰り出すサラリーマンはまだまだ少ない。かたや、神保町で営んでいた定食屋の廃業を決め、すでに転職活動に勤しんでいる調理師は、いまだ恐怖が冷めやらないという口調でこう話す。
「大家に退去通知を出したのは4月半ば。その後も営業は続けたけど客は見る見る減り、テイクアウトに切り替えても、街に人がいない。余った食材や処分する備品を近隣の店にあげたけど、その店も今はどうしているか……」
かろうじて存続している飲食店も、厳しい状況が続いているが、今回、コロナ禍の影響を大きく受けた飲食店にはいくつかの特徴があった。
「山手線沿線から内側の都心がやられている。過去の不況と比べても。こんな風潮は初めてです」
そう話すのは、SNSで人気の「全宅ツイ」メンバーで不動産ブローカーのあくのふどうさん氏だ。
「立地としては、健康を気遣うお年寄りが来る銀座のような街、会社員が行き交う渋谷、新宿などのターミナル駅もダメ。業種としては居酒屋や夜の店が特に厳しく、戻りも悪い。三軒茶屋や中野のような住宅街に隣接したエリアのカフェやランチ営業が中心のレストランには人が戻ってきている」
また、立地や業種だけでなく店舗の大きさや出店形態も影響しているという。飲食店のM&Aや売買仲介を行うウィットの代表取締役・三宅宏通氏は言う。
「大人数の宴会需要を主な売り上げとしている居酒屋のような大型店舗、商業施設に入る店舗は家賃が150万~200万円と高いことが多い。特に商業施設は、施設自体の運営の影響を受けるため、営業時間に制約があったり、逆に閉めたいのに閉められず赤字を垂れ流すケースもあります。しかも、退店したくても次の借り先が見つかるまで賃料を払い続けなければならず、違約金があるなど撤退するのも難しいのです」
とはいえ、持続化給付金や各種補助金を申請するなど、手段を講じれば廃業は免れられるのではないのだろうか。存続を選んだ店、勇退を選んだ店ではどんな違いがあるのか。
「飲食店で最も重いのが従業員の人件費。物件の賃料は1割程度なので実はそれほど重くない。雇用調整助成金があるので、通常なら2~3か月は耐えられます。けれども、内部留保が少ないお店や借金が多いケースは厳しいでしょう。逆に大手チェーンでは3割減、5割減になっても耐えている企業が多いのは、内部留保を増やすノウハウがあるから」(あくの氏)
あくの氏によると、首都圏の場合、立ち上げ時の設備投資は坪あたり最低40万円程度、多いと60万~70万円というのが一般的だという。例えば20坪の店で初期投資約1200万円、売り上げが月400万円前後というのが一般的な相場。しかし、人件費や光熱費、食材費などを支払うと残るのは1割の40万円程度。この中から借金を返済し、プールを増やしていくためには、継続(時間)しか方法はない。つまり、トレンドを取り入れた勢いのある若い飲食店ほど苦しい状況に陥ってしまうのだ。
前出の三宅氏によれば、コロナ禍により、飲食店の売却・撤退の相談件数は、例年の4倍にも増えているという。
「今、相談に来られるのはもともと経営が厳しかった店や、コロナ直前まで店舗数を増やして急成長してきた企業が大半です。今は緊急融資でなんとかもっていますが、客足が戻らずに廃業するところも増えてくるでしょう」
食材仕入れの予想すらつかない!
コロナ禍の影響を大きく受けた店舗に共通する特徴とは?
1
2
ハッシュタグ