幸福の科学、コロナ禍に発行された霊言本で、「ポア思想もどき」が出現

幸福の科学の違法・問題行為

 たとえば2003年。愛知県内の保護観察官を差出人として官名で、県内の保護司約1000人に幸福の科学の出版物が郵送された。2014年にも、公立中学校の元校長である信者が在職時の生徒名簿を使って元生徒たちに布教活動を行い教育委員会から厳重注意される問題が起こっている。  いずれも、メディアの取材へのコメントや霊言、機関誌『ザ・リバティ』の記事などで、教団は「信教の自由」を振りかざして、この問題行為を正当化して見せた。  幸福実現党が選挙活動中に応援演説をしたテレンス・リー(タレント)に報酬を支払った買収事件(2016年)では、幸福実現党本部(東京・赤坂の教団施設内にある)が警察の家宅捜索を受けた。これについて機関誌『ザ・リバティ』がウェブ上にこんな記事を配信した。 「幸福実現党への家宅捜索 宗教の聖域に世俗権力がみだりに立ち入ってはならない」  幸福実現党は自称「祭政一致政党」なので、彼らにとっては同党そのものが宗教団体であり聖域なのだ。  だから幸福実現党は、信者たちを集めて1人数万円の「布施」を集める祈願や「祭政一致研修」でカネを集めていながら、それを「政治資金パーティー」として告知したり収支報告書に記載したりはしない。たとえば平成30年分の同党の政治資金収支報告書には、この収入は「法輪輾転・祭政一致研修」名目で約5億5000万円が計上されている。「政治資金パーティー」などという俗なものではなく聖なる宗教儀式だというわけだ。  幸福の科学学園では、歴史の授業で教師が生徒たちに、たとえば「坂本龍馬の過去生は劉備玄徳」といった調子で、霊言に基づいて史実と異なる内容を教えていたりする。寮生活のルールを破った生徒を空き部屋などに隔離し、授業にも部活にも出させずに教祖の説法DVDを見せ反省文や感想部を書かせる「隔離措置」が横行している。マトモな教育を受ける子供の権利も含めて、人権侵害的な要素が集中しているのが幸福の科学学園だ。  同学園では、生徒たちに幸福実現党を支持する教育も行われている。教育基本法で禁じられている「政治教育」に当たるが、教団側は「政治も教えの一部(つまり宗教教育である)」(2013年当時の教団広報局長)という論理で正当化する。  政治も教育も全て「宗教」。だから活動の全てを「信教の自由」で正当化する。法律など二の次だ。

批判者に対する攻撃

 批判者に対する攻撃も同様だ。1991年に幸福の科学は、批判的な記事を掲載した週刊誌『フライデー』に抗議して、発行元の講談社に乗り込んで騒ぎ立てたり、全国の信者を動員して抗議の電話やFAXを講談社に殺到させ通信を麻痺させたりした。訴訟も乱発した。  教団は未だに一連の行動を「希望の革命」と称して美化している。  以降も、布施の返還を求めて訴訟を起こした元信者と代理人の山口広弁護士に対して8億円者損害賠償を求める訴訟を起こしたり(東京地裁が、批判的言論を威嚇する目的であり違法として、幸福の科学から山口弁護士への100万円の損害賠償を命じた)、教団施設の建設に反対する運動をしていた宇都宮市内の弁護士に1億円の損害賠償を求めて提訴したり(後の取り下げ)。  訴訟を利用して批判者や敵対する者を威圧するという行為を現在に至るまで繰り返しており、筆者自身、2012年に『週刊新潮』で幸福の科学学園の実態について記事を書いた際には1億円の損害賠償を請求され訴訟を起こされた。週刊誌記事にしては珍しく、記事に一切問題がないとする内容の判決で筆者と週刊新潮が完全勝訴したが。
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繰り返される暴力
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