「アート引越センター」を経営する株式会社アートコーポレーション。同社は、残業代の計算がずさんだっただけでなく、
「引っ越し事故賠償金」(以下、賠償金)を従業員の給与から天引きしていた。
横浜都筑支店に勤務していた元社員の男性2人と元アルバイトの男性1人は、2017年10月10日、未払い残業代の支払いや賠償金の返還を求めて同社を提訴。6月25日に横浜地裁で判決の言い渡しがあった。
残業代を巡っては、“始業時刻”が争点の一つになった。会社側は7時半が始業時刻だと主張していたが、原告らは着替えやラジオ体操、朝礼の必要があったことから、始業時刻はもっと早かったと主張。
判決では、原告らの主張が一部認められ、実際の始業時刻は7時10分だったとされた。そのため改めて労働時間として認められた分が原告らに支払われることとなった。
だが、そもそも同社は、残業時間の管理が非常にずさんだったという。原告らが退社後に相談した日本労働評議会は、提訴前の
2017年7月1日にこう記している。
「組合員達はアート引越センターに勤務していた頃、長時間働いた割には残業代が少ないことを感じていました。アートではタイムカードではなく、電子式の出退勤の打刻をして、会社が集中管理しています。会社は組合員らの労働時間を操作したことを認めました。残業時間が多くならないように、主に退社時間を操作し、残業時間を削っていたのです」