では、今後フリーランスを目指す人はどういった選択をするのが最善なのか。
そのヒントをフリパラ歴ごとの集計から読み取ることが可能だ。フリーランスやパラレルキャリアを始めてからの期間を「フリパラ歴」として定義。キャリアの期間ごとにどういった回答をしたのかも本アンケートでは集計されている。
フリパラ歴が6か月未満、つまりキャリアをスタートしたばかりの人では就業時間が20時間未満が15.7%と一定の割合を占めている。フルタイムクラスではなく、就業時間が短めな人が多く、このことから空いている時間を活用して始められる仕事の需要があること、そういった形でキャリアを始める人が一定数いることがわかる。
そして、フリパラ歴が長くなればなるほど、取引社数と年収が増えていく傾向があることも見逃せない。フリパラ歴10年以上のグループでは35%以上が取引社数を「10社以上」。年収も「400万円以上~600万円未満」とする人が約3割となっている。要求された仕事を適切にこなしていれば、実績や人脈を積みあげることも可能なようだ。
仕事と働き方が多様化しており、間口が広がっている。そして、少しずつ実績と人脈を築いていく。まずは副業くらいの感覚でスタートして、チャンスがあったら拡大というような形が今後フリーランスの始め方のひとつとして定着していくかもしれない。
そもそもフリーランスとして働くことは幸せなのだろうか。この点についても本調査の結果から読み取ることが可能だ。「1つの会社に所属していたことがある」と回答した人に対して、追加で会社員時代から増えたもの、減ったものについてを質問している。
まず働く時間が減ったと答えた人は52.9%。働く時間が増えた人も25.1%、変わらない人も22%いるので、一概には言えないが、約半数が働く時間が減っている点は注目すべきだろう。
働く時間が減った人が半数なので、当然の帰結と言うべきか、自由時間も増加している。自由時間が増えたと回答した人は75.8%。多くの人が仕事以外の時間を増やすことに成功している。なお、自己投資の時間が増えたと回答した人は74.9%と自由時間が増えた人とほぼ同じ割合。空いた時間でスキルアップや自分磨きをするという良い循環があることが推察される。
極めつけはストレスへの回答だ。ストレスが減ったと回答した人は70.1%。仕事の時間も減り、ストレスも減る。フリーランスの良い点を垣間見ることができる結果となっている。
最もフリーランスは良い点ばかりではない。働き方の課題についての集計結果を最後に紹介したい。
働き方の課題では「収入がなかなか安定しない」という回答が最も多く55.1%。実に半数以上の人が課題としてあげている。やはり金銭面での不安は、雇用されて安定した収入が得られる状態と比べるとどうしても大きいようだ。
次に多いのが「経理などの庶務・バックオフィス作業が煩雑」で36.3%。仕事を受注さえできればそれでOKとはならない。税理士を雇うような規模でもなければ確定申告も自分、その他の雑務や庶務も全て自分だ。これも会社ではなかなか出ない悩みだろう。
また3番目の「社会的信用を得るのが難しい」の32.2%も見過ごすことができない。会社員に比べると不安定なフリーランスは、客観的評価が低い傾向があるのは否めないだろう。クレジットカードや物件の賃貸等の各種審査、人間関係等で辛酸をなめるような経験をしたことがあるフリーランスは少なくない。
フリーランスは自由な時間が増え、可能性としては収入が青天井と夢があるのは確かだ。しかし、不安定な面も当然あり、もしもフリーランスの道を志すならばそういったネガティブな面にも目を向けなければならないだろう。今後、会社に雇われていれば人生安泰という層の減少が予想されるが、とは言っても安直にフリーランスを選択するというのも危険である点は留意したい。
<文/菅谷圭祐>