アフターコロナの物件価格下落の不動産投資。狙い目は業者が投げ売る「損切り物件」

有事には格安物件が市場に出てくることも

 それでは歴戦の投資家が考える今後の勝ち筋はどこにあるのか。寺尾氏はタイミングを慎重に図ることの重要性を強調する。 「これからは融資がさらに厳しくなる可能性が高く、そうなれば物件を買える人はますます限られてきます。結果、物件価格が総じて下がることになるため、値下がりが起きたタイミングで一気に勝負をかけられるキャッシュを確保している人にとっては有利な展開といえます。実際、市場を見てみると高利回りの魅力的な物件が増えてきた印象です。ただ、不動産価格は遅効性があるので、焦って大切なキャッシュを投入せず、購入のタイミングはじっくりと図ることをおすすめします」  そうは予想しつつも実は寺尾氏は今年5月も一物件、購入した。
寺尾氏が5月に購入した横浜市のマンション。

寺尾氏が5月に購入した横浜市のマンション。「この物件は業者の転売物件でしたが、結果的には相場よりもかなり割安で買うことができました」

「先月、横浜市戸塚区のファミリータイプの区分を買いました。業者が短期の高値転売を諦めた事実上の損切り物件。広さ60㎡ほどの近隣相場から考えると約3200万円と試算されるスペックの物件でしたが、2000万円で手に入れることができました」

「個人」だからこその強みを活かせ

 お値打ち物件が手に入った背景には業者と個人投資家の違いがある。
寺尾氏が石川県金沢市に所有する一棟物件。

寺尾氏が石川県金沢市に所有する一棟物件。「今後は現金確保のために資産売却を急ぐ『個人投資家以外の存在』が割安に手放すケースもたくさん出てくるはずです」

「プロである業者はノルマが常にあり、資金効率が落ちる『保有』はやりません。平時だと資金力や情報収集力に勝る業者に個人投資家が太刀打ちするのは難しいですが、有事にはこうした損切りのためにやむなく売られる物件も出てくるので、実は大きなチャンス。個人投資家がプロに勝るのは『長期保有できること』と『買いたいときだけ買うことができる点』。そこは最大限、活用して勝負をしていくべきです」  焦らず戦略を練れば、有事こそ個人投資家の好機となりえるのだ。
内見者への印象は格段によくなるので、お金をかけるべき

「空室は家具や小物などに気を配るステージングを実施することで内見者への印象は格段によくなるので、お金をかけるべき」と客づけのポイントを寺尾氏は明かす

●寺尾氏流 [有事の投資術] ・手頃な価格帯の物件は空室のリスクが減り比較的安定の見通し ・物件価格は下落が予想されるが遅効性があるため、焦りは禁物 ・個人投資家の強みである「時間」を最大限活用して勝負 【寺尾恵介氏】不動産投資家 ’73年、愛知県生まれ。住友海上火災保険富山支店在任時代に不動産投資に目覚め、大家を志す。現在の保有物件は165室、家賃年収は1億2000万円。著書に『フツーのサラリーマンですが、不動産投資の儲け方を教えてください! 』(ぱる出版)など <取材・文/栗林 篤 藤村はるな>
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