コロナ禍の「新しい生活様式」。マスク熱中症にも要注意! 連日猛暑で早くも危機

マスク熱中症イメージ1

写真/時事通信社

 6月8日、福岡県久留米市で今年初の猛暑日(35.3℃)を計測。気象庁によると今年の夏は、気温が全国的に平年並みか高いと予想されている。猛暑襲来を前に、忍び寄る「マスク熱中症」に立ち向かう心得を探った。

「新しい生活様式」の必需品。マスク熱中症にも要注意

 緊急事態宣言の解除から早くも1か月がたとうとしているが、都内の新規感染者の数は一日に40人を超えることもあり、しばらくはマスクを手放せそうにない。新しい生活様式で本格的な夏を迎えるにあたって、今、懸念されているのが「マスク熱中症」の問題だ。熱中症に詳しい帝京大学医学部教授の三宅康史氏は、「マスクを着けていることで熱中症のリスクが高まるというデータはありません」と前置きしつつも、「逆にマスクを着けていて、(熱中症については)安心だというデータもない。マスクの着用は、熱中症のリスクを高める可能性が十分に考えられるので、今夏は例年以上に注意すべきです」と警鐘を鳴らす。 「人間の体は、温かい空気を吐いて冷たい空気を吸うことで、熱交換を行って体温を調節しています。ところが、体温や気温で温かくなったマスクを着けていると冷たい空気が吸えなくなり、体が十分に冷やされなくなります」  マスク装着時に感じる息苦しさも、気づかないうちに熱中症のリスクを高めている可能性がある。 「呼吸は肋間筋と横隔膜の筋肉運動によって行われますが、息苦しさを感じると、人間の体はふだんよりもがんばって呼吸しようとします。筋肉運動は熱が発生するので、がんばった分だけ体に余計な熱がつくられてしまう。マスクを着けていると顔の表面からの放熱が阻害されて、体温が上昇することも考えられます」(三宅氏)  ご存じの通り、熱中症は体温が上がると起こりやすくなる。マスクをつけていることで体内に熱がこもりやすくなる分、リスクが高まっても不思議ではない。マスク姿で自転車通勤をしている加藤雄介さん(仮名・30代)は、実際に身の危険を感じたという。 「普段はなんてことのない上り坂で体が急に重くなり、頭痛がひどくなりました。ファミレスで1時間ほど休んだら症状は治まりましたが、この体験以来、運転中に息苦しさを感じたときは、マスクをずらすようにしています」

医療機関への負担増にもなる、熱中症患者の増加

コロナより怖いマスク熱中症  熱中症で救急搬送された人の数は、’18年に急増して9万5000人を突破。’19年は減ったものの、それでも7万人を超えている。専門家の三宅氏も「今年は予測ができない」と言う緊迫した状況の中で、国も対策に乗り出した。6月16日、環境省と気象庁は熱中症のリスクが極めて高いときに、熱中症警戒アラートを出す新たな取り組みを発表。関東甲信の1都8県で7月1日から10月28日まで試行され、前日の午後5時と当日の午前5時にアラートを出し、テレビや自治体の防災行政無線、メールなどで住民に伝えるという。  熱中症警戒アラートを見逃さないようにするなど、熱中症に対する我々の意識を変えることが急務だが、三宅氏は「熱中症にかかる人を減らすことで、医療機関への過重な負担やストレスを減らすことにつながる」とも。 「熱中症がやっかいなのは、患者さんが高体温で救急搬送されてくることです。医療機関としては、新型コロナの感染も疑わなければいけなくなるので、100%感染していないと証明できるまでは、熱中症の方にも防護服を着用して治療にあたることになります」  だが、注意していても、熱中症にかかることはある。’19年9月に熱中症で倒れた井上幸隆さん(仮名・30代)もその一人だ。 「インドア派なこともあり、外出するときは日陰を歩いたり、こまめに水を飲んだりしていました。ただ、当日は残暑の厳しいなか久しぶりに外出をしたせいなのか、急に体調が悪化して……。激しい頭痛で意識が朦朧とする中で、自力で歩けなくなりました」  幸いにも、友人の適切な処置のおかげで井上さんは重症化せずに済んだが、自粛生活やテレワークが長引く中で、誰もが熱中症になるリスクが高まっているという。
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