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「新しい生活様式」が提唱され、デリバリーサービスが急激に浸透。その代名詞とも言えるウーバーイーツに、厳しい目線が注がれている。配達員と本部の安全意識を問う。
街中では危険運転の悲鳴が! 責任の所在はどこにある?
スピード運転、信号無視、運転中のながらスマホ……。特需の裏でウーバーイーツの危険運転がたびたび目撃され、世間から非難の声が上がっている。事故に遭った20代の男性は、語気を荒げてこう語る。
「歩道を歩いていたら、後ろからウーバーイーツの自転車に猛スピードでぶつけられ、その衝撃と痛みでうずくまりました。なのに、配達員は声をかけることもなく、そのまま走り去っていったんですよ!? 人としてあり得ない!」
一般人だけではなく、同じウーバーの配達員からも怒りの声が上がっている。キャリア3年の杉原大吾さん(仮名・42歳)は「許せない」と憤る。
「一部のバカのせいで『ウーバーイーツ配達員はマナーが悪い』というイメージが定着しつつある。それで、最近は普通に運転しているのに車から煽られることもある。だから違反行為を見かけたら、必ず注意しているんです。先日も、逆走している自転車を見かけて呼び止めたのですが、そもそも交通ルールを知らないからか、きょとんとしてました。呆れますね」
ほとんどの配達員は安全運転をしているものの、一部の危険運転の配達員が後を絶たないのはなぜなのか。どうやら、手軽に仕事を始められるというメリットが裏目に出ているようだ。杉原さんは続ける。
「私が配達員を始めた頃は、自転車やバイク好きが高じて配達員になるケースが多かった。だから、交通ルールを熟知している人がほとんどだったけど、約1年前から誰でも簡単に始められる仕事という認識が広がって、知識が不十分な人が増えた。さらに、コロナの影響で事務所が閉鎖され、登録会への参加が不要になり、電話一本で始められるようになった。それで普段運転しない層が数多く流入し、悪目立ちするようになったと思われます」
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配達員が関わる事故の目撃者を探す看板が都内に乱立。このように報道されない小さな事故も多発している
3月から配達員を始めた中川圭太さん(仮名・20歳)は、交通ルールをあまり理解できていない。
「運転免許を持ってないので、交通ルールはなんとなくしか知りません。地方出身者からすると東京の道路は複雑で、三叉路とかどうやって渡るべきなのか難しい」
また、別の新人配達員の菅由彦さん(仮名・27歳)はこう語る。
「上司もいないし、スマホで完結するので、ゲーム感覚でやってる人は多い。配達員同士で時給換算した金額でマウントを取り合ってて、『今日は何件いけるか? いくら稼げるか?』と、いつのまにか競争意識が芽生えてしまうんです」