── 「協議会」から再委託された電通は、さらに子会社に再々委託しています。
大串:
電通ライブ595・7億円、電通テック7・8億円、電通国際情報サービス19・8億円、電通デジタル16・3億円、電通東日本5・5億円です。さらに
電通ライブからパソナ、大日本印刷、トランスコスモスに再々々委託されています。これでは、誰がどの事業に対して、どのような責任を負うか不明確になってしまいます。問題が起こっても責任の所在が不明確では是正もできません。私は6月9日の衆議院予算委員会で梶山経産大臣に、このような運営の実態を把握しているかと問い質しましたが、大臣がきちんと状況を把握しているとは思われませんでした。国民の生き死にに関わる給付金業務を監督する立場として、あまりにも無責任です。
── 電通にも多額の委託費が落ちています。
大串:「協議会」から電通に再委託された
749億円から、電通の子会社に再々委託された額を引くと、
電通に104億円入っていることになります。電通にはこの額が適切なのかどうかを説明する責任があります。
── なぜわざわざ電通がトンネル会社を通して受注したのかが疑問です。
大串:
「協議会」は796億円の委託費のうち97%を電通に再委託したことになります。経産省の示している委託契約のひな型には「業務委託の全部を第三者に委託してはならない」と書かれていますが、97%ということはほぼ全部だということです。電通の榑谷典洋副社長は6月8日の会見で「多額の公金を会社のバランスシートに反映させることは経理部門が不適切だと判断した」と述べていますが、そうしたことをやっている会社は他にもあります。株主にきちんと説明すればいいだけの話です。
今回の取引に関しては、不透明な部分が数多くあります。
政府がきちんと説明責任を果たさなければ、給付金事業の事業体制が、「権力に近い人が優遇される流れの一環ではないか」という疑惑は払拭されません。 (聞き手・構成 坪内隆彦)
大串博志●立憲民主党衆議院議員。元大蔵官僚
<6月22日発売『
月刊日本7月号』より>