PHP は、
動的なWebページを簡単に生成できるプログラミング言語だ。
ラスマス・ラードフが開発したプログラミング言語で、元々は「
Personal Home Page Tools」という名前で、略して「PHP Tools」と呼ばれていた。現在では、「
PHP: Hypertext Preprocessor」の頭文字を取ったものになっている(参照:
PHP)。
こうした、略す前の言葉に、略した後の言葉が入っている名前は、再帰的頭字語と呼ばれてハッカーに好まれる。たとえば、GNU は「GNU’s Not Unix」(GNUはUnixではない)の再帰的頭字語とされている(参照:
GNUオペレーティング・システム)。
PHP は、元々動的なWebページを生成するために開発されたプログラミング言語だ。そのため、とにかく短時間で動的なWebページを作れる生産性の高さが特徴だ。そうした機能も豊富に備えている。また、多くのサーバー環境に初めから入っているために、別途実行環境を用意する必要がなく、利用できる点も特徴だ。
ただ、プログラミング言語としてのエレガントさはない。命令などの命名規則など統一感に欠ける。便利なものを雑多に取り入れたせいで、寄せ鍋的な印象は拭いきれない。
このプログラミング言語は、
現場たたき上げの有能な軍曹のようなイメージがある。開発速度が求められるWeb業界で、徹底的に使い倒されてきた。多くの開発会社で利用されており、その生産性の高さは折り紙つきだ。
PHP で作られたソフトウェアを少し紹介しておこう。プログラムを書かない人でも、
WordPress の名前は聞いたことがあるだろう。オープンソースのブログソフトウェアだ。広く普及している WordPress は、PHP で開発されている。また、Wikipedia のために開発された
MediaWiki も PHP で書かれている。
私は、PHP のバージョンが低かった頃、仕様の雑多な雰囲気に、あまり魅力を感じず、少し使って使用をやめた。しかし最近は、その生産性の高さと充実した機能に魅力を感じて、よく利用するようになっている。
PHPは、Web開発の現場で求められる機能が積極的に入っており、バージョンを経ることで言語としても洗練されてきた。また速度なども大幅に向上している。動的なWebサイトを短時間で作りたいなら、選択肢に必ず入るプログラミング言語だ。多くのスタートアップで初期に採用されてきたことからも、その生産性の高さを知ることができる。
1995年に縁のある2つのプログラミング言語を見てきた。この年は、IT業界だけでなく、日本史の上でも重要な年だった。
1月17日の阪神・淡路大震災。
3月20日の地下鉄サリン事件。あれからもう25年が経ったのかという気がする。
歴史の節目となる年は、そうそう多くはないのだが、1995年はそうした年の1つだろう。奇しくも25年後の2020年は、新型コロナウイルスの蔓延という世界史でも節目の年となった。節目の年に、節目の年を振り返ってみるのもよいのではないだろうか。
<文/柳井政和>