「おむつを譲ります」「代わりに買い物しますよ」コロナ禍で見直されるご近所づきあいの力
新型コロナウイルスによる感染リスクへの恐怖や経済不安が国内に暗い影を落としている。こうした状況はコロナ禍と呼ばれ、負の影響がクローズアップされがちだが、その裏で前向きな動きも起こっている。「ご近所づきあい」が活発になっているというのだ。
月間200万人が利用するご近所SNS「マチマチ」では、コロナ禍を乗り切ろうと住民同士が情報を共有したり、オンラインで繋がったりと交流が盛んだ。運営会社である株式会社マチマチ代表の六人部生馬さんに、どのような助け合いが行われているのかを聞いた。
六人部さんは、約5年にわたるマチマチの運営経験から「新型コロナウイルスを含め、地震や台風といった有事の際には住民の繋がりが強化される傾向が高い」と話す。
災害時には、情報や食料、日用品などたくさんのものが必要となるが、行政がそれらを迅速に全住民に提供するには限界がある。こうした場合、近隣住民同士で支え合う方がスピーディーかつ的確なことが多い。
筆者は今年2月、「病院や保育園、オススメのお店情報を住民同士がシェア。ご近所SNS『マチマチ』が作る『つながりのある社会』」という記事を書いた。同記事では、2019年に甚大な被害をもたらした台風15号接近時、川の水位や避難所の状況について住民同士で情報交換する様子を紹介した。
とりわけ新型コロナウイルスは「100年に1度の危機」と言われるほどのインパクトがある。国民は短期間に生活の変化を迫られたことに加え、生活必需品が手に入れにくい状況に陥った。いつ終息するかわからない不安も抱える。このような状況だからこそ、ご近所で支え合う動きが活発になっている。
具体的には、どのような助け合いが起こっているのだろうか。
目立つのが「マスクはどこで手に入るか」「デリバリーやテイクアウトに対応している飲食店はどこか」といった情報共有だ。そのほか、休校や休園により家にいる子どものお世話や遊び方の工夫にについての相談も見られる。
また、トイレットペーパーやティッシュ、オムツなどが品薄となった際には「余っているのでお譲りします」とコメントする人もいた。住民同士でのおすそ分けという温かい動きが広がる。
情報共有や悩み相談だけでなく、住民同士がオンラインで繋がった事例もある。
「オンライン会議ツールZoomを使い、住民同士で話をする方がいらっしゃったのです。いわば『オンライン井戸端会議』ですよ。個人的にとても面白いと思いました」(六人部さん)
ずっと家にいると息が詰まったり、家族以外の人と話したくなったりすることもあるだろう。そんな時、近隣住民とのライトな繋がりが持てると心が軽くなる。
災害や天災時ほど発揮される「住民同士の助け合い」
「ゆるゆる話しましょう」住民がオンラインで井戸端会議
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