何となく収束しそうと安心するのは危険。一喜一憂せずに
読者に言っておきたいのは「
とにかく一喜一憂するな」ということだ。今後、全国で学校が再開され、飲食店や映画館、イベント会場なども再オープンすることになるだろう。「待ちわびた人たちが押し寄せる」といった新聞の見出しが想像できるくらいだ。「お店や観光地に行って応援」というムードも高まるに違いない。しかし、繰り返すが「なぜ感染が爆発しなかったのか。なぜ感染者数が急激に減ったのか。今後このまま減ってゼロになるのか」など、正確なことはまだわかっていないのだ。極端な言い方をすれば、社会活動の再開は「なんとなく、そろそろかな」という程度で始まっている。
そうなると、活動を再開した地域や場所では、再び複数の感染者が確認される事態も起きると思う。せっかく開いた店や学校を再び一定期間クローズしなければならないこともあるかもしれない。そこで「またか……」とあまり落ち込まないでほしい。「やっぱりね。こうなるのはわかってた」くらいのクールな態度が必要だ。
一番よくないのは「自粛は二度としたくないから、多少の感染が起きていても気にしない」と事実を見なかったことにしてしまうことだ。
とにかく早く必要な人にはPCR検査を、そうでない人にも抗体検査を行って、感染の実態を掴み、専門家にはエビデンス(科学的根拠となるデータ)に基づいて次の対策を決めてもらいたい。そして、私たちは「一喜一憂せずクールに振る舞う」。これを忘れずにいよう。
<文/香山リカ>