第一波は抑えられた「かもしれない」。まだ「収束しそう」と安心するのは危険

何となく収束しそうと安心するのは危険。一喜一憂せずに

 読者に言っておきたいのは「とにかく一喜一憂するな」ということだ。今後、全国で学校が再開され、飲食店や映画館、イベント会場なども再オープンすることになるだろう。「待ちわびた人たちが押し寄せる」といった新聞の見出しが想像できるくらいだ。「お店や観光地に行って応援」というムードも高まるに違いない。しかし、繰り返すが「なぜ感染が爆発しなかったのか。なぜ感染者数が急激に減ったのか。今後このまま減ってゼロになるのか」など、正確なことはまだわかっていないのだ。極端な言い方をすれば、社会活動の再開は「なんとなく、そろそろかな」という程度で始まっている。  そうなると、活動を再開した地域や場所では、再び複数の感染者が確認される事態も起きると思う。せっかく開いた店や学校を再び一定期間クローズしなければならないこともあるかもしれない。そこで「またか……」とあまり落ち込まないでほしい。「やっぱりね。こうなるのはわかってた」くらいのクールな態度が必要だ。一番よくないのは「自粛は二度としたくないから、多少の感染が起きていても気にしない」と事実を見なかったことにしてしまうことだ。  とにかく早く必要な人にはPCR検査を、そうでない人にも抗体検査を行って、感染の実態を掴み、専門家にはエビデンス(科学的根拠となるデータ)に基づいて次の対策を決めてもらいたい。そして、私たちは「一喜一憂せずクールに振る舞う」。これを忘れずにいよう。 <文/香山リカ>
’60年、北海道生まれ。東京医科大学卒業。立教大学現代心理学部教授も務める。豊富な臨床経験を生かし、現代人の心の問題を中心にさまざまなメディアで発言を続ける。音声アプリ「ヒマラヤ」で「香山リカのココロのほぐし方」を配信中。最新刊『オジサンはなぜカン違いするのか』
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