彼はマフィアの活動について具体例を挙げている。
「食料の配給がパンデミックの影響で遅れるようになった時に、禁止されている間隙をぬってそれを手早く配給するのがマフィアだ」
「パンデミックはマフィアにとって理想の場だ。その理由は簡単だ。もし空腹だったら、パンを探すだろう。それがどのパン屋で作られたかということや、誰が配給しているのかということなど問題にはならない。それが必要であれば、それにお金を払う。誰がそれを売っているのかということは尋ねやしない。相手を選ぼうとするのは平和で福祉豊かな時だけだ」
更に、彼は警告として、「もし
国が危機にある企業を救援するための即座の行動を取らない場合は、もう遅い」「コロナウイルスが感染しないところでも、マフィアはそこまで到達できるからだ」と語って、
危機にある企業がマフィアから資金を乞うようになる可能性は十分にあると示唆したのである。
パレルモの検事フランシスコ・ロ・ボイも数日前のビデオ講演で外国の記者に向けてこのコロナ・パンデミックを利用してヨーロッパから訪れる観光客を対象にマフィアが観光分野でも強い関心を払っていることを指摘した。(参照:「
La Nacion」
危機の時に最前線で活動するのはどこでも犯罪組織である。それを金儲けの良い機会だと見るからである。その意味で、パンデミックで国が麻痺しているイタリアでマフィアは活躍の場を復活させているのである。
<文/白石和幸>