エアコンを短時間につけたり消したりすると、エネルギーの浪費になる
次に、エアコン冷房の使い方のポイントを紹介します。最近は知られてきましたが、
エアコンはこまめにつけたり消したりするよりも、つけっ放しの方が省エネになり、光熱費も下がります。エアコンは立ち上げ時に最も出力が上がるので、短時間につけたり消したりを繰り返すことで、エネルギーの浪費になってしまうからです。
また、エアコンを消している間にせっかく下げた室温が上がってしまえば、次につけたときにもう一度エアコンが頑張って室温を下げる必要が出てきます。特に、外気温と室温との差が大きい時は要注意です。
それよりも、
自動運転で室温を維持しながら同じペースで運転したほうが効率が良くなります。風量設定では、自分で強弱を切り替えるよりも自動運転にすることをお奨めします。自動運転モードは、一気に設定温度まで室温を下げ、その後は微風などで室温を保てるよう調整してくれるため、たいていの場合は最も効率的です。
自動車の運転に例えれば、急発進と急ブレーキを繰り返せば燃費が悪くなるのと同じ原理です。また、グンと加速するよりも同じペースで進むほうが、燃費が良くなるのも同じです。そのため、
30分や1時間ほど出かける際には、エアコンを切らない方が省エネになります。
もちろん、どんな状況下でも24時間つけっ放しがよいというわけではありません。一日中部屋にいない場合や、外気温と室温の差があまり大きくない場合、あるいは夜間に外気温が下がる場合などでは、止めたほうが効率は良くなります。
それでも、
エアコンを止めてすぐに暑くなるような部屋では、微弱運転にしてつけていたほうがよさそうです。エアコンを止めて窓を開けてしまうと、外から湿った空気が一気に入ってきます。これまでお金とエネルギーを使ってようやく快適にした室内の空気が、台なしになってしまいます。エアコンを止めるときは、室内の温度と湿度、外の気温と湿度の差をよく確認してからというのがよいでしょう。
エアコンによる冷房は光熱費がかさむため、節電のため使用を控えたい、と考える人もいます。さらに世代によっては、「冷房は贅沢」というイメージを持つ人もいます。しかし、そのイメージは誤りです。
環境省の調査(2018年度)では、家庭における年間の用途別CO2排出量で最も多いのは、全国どの地域でも、一年を通して使う照明や各種家電となっています。次に給湯、暖房と続き、
冷房に使われるエネルギーが生み出すCO2は、沖縄を除けば5%以下です。
その理由は、冷房を使う季節はかなり限られていること、そして暖房に比べて外との温度差が少ないことなどが挙げられます。
年間を通じて考えれば、冷房に使うエネルギーはたいしたことはありません。くれぐれも、暑さを我慢して室内で熱中症になることのないよう気をつけてください。
最後に、エアコンをより効果的に使う室内環境の見直しも紹介します。キーワードは、
「遮熱」「循環」「断熱」の3点です。最も重要なのは、窓から直射日光を室内に入れないことです。
遮熱カーテンなどでも効果は得られますが、室内に熱が入ってくること自体は防げません。
より効果的な方法は、窓の外でカットすること。すだれやシェード、植物による緑のカーテン、そして雨戸などを活用して、窓の外を工夫してみましょう。
次に循環です。エアコンを使用する際は、
サーキュレーターもしくは扇風機などを回して、空気を循環させましょう。冷えた空気はどうしても足元にたまりがちで、部屋の上の方が暑くなってしまいます。空気をかき回すことで、室内全体にムラが少なくなります。
最後に断熱です。
内窓の設置や屋根の断熱材の補強などが効果的です。他の2つほど簡単にはできませんが、一度やってしまえば永続的に効果があり、光熱費などランニングコストも抑えられるので、家のリフォームの機会があればお薦めします。
なお、大きな掃き出し窓以外であれば、ホームセンターなどで売っている簡易なDIYでつくれる内窓キットを使ってみても良いでしょう。コストが安い割に、大きな効果を得ることができます。
このような対策をとることで、エアコンの効率はさらにアップします。適切なメンテナンスと効率的な運用で、暑い夏を快適に過ごしていただけると幸いです。
【ガマンしない省エネ 第20回】
文/高橋真樹