4月21日に緊急救命の受け入れ中止を発表した都立墨東病院は、1か月半以上前から医療用マスクが不足していた
しかも小池知事は24日の会見で、こんな発言もしていた。
「世界各地では医療従事者に対して、一定の時間に拍手をみんなで贈るというようなキャンペーンなども行われている。東京都でも、先日も(都庁などの)ライトアップによりブルーを示すことによって、医療従事者の皆さんへのエールを送っているところです」
筆者は唖然とした。
墨東病院の医療崩壊を招いた責任者が自らの怠慢を恥じることなく、医療従事者を励ます“指揮官役”に大変身しようとしている。「コロナのたぬき」と呼ぶのがピッタリだと思ったのはこのためだ。
これまで小池知事は「緑のたぬき」と一部で呼ばれ、揶揄されてきた。元環境大臣である小池知事のシンボルカラーがグリーンであることと、希望の党設立時の「安倍政権打倒」の旗印が“詐欺的”だったとの印象から生まれたネーミングだったが、今回のコロナ対応でも小池知事の外面と中身のギャップを再び目の当たりにすることになったのだ。
五輪延期決定前後も大変身――連続放火犯が消防署長に“化けた”!?
4月23日と24日の小池知事会見でも筆者は指名されず。そのため2回連続で、都立墨東病院のマスク不足の件について声掛け質問をした
3月の3連休明けに五輪延期決定をした際にも、小池知事はその「たぬき」ぶりを発揮した。
感染拡大を招いた“火つけ役”が突然、感染拡大防止の陣頭指揮を取る“火消し役”へと“化けた”かのような変わり身の早さだった。
安倍首相が五輪延期容認を表明した3月23日、「予定通りに五輪を開催する」との方針で足並みを揃えてきた小池知事も首相に同調し、急に悲観的な見方を会見で打ち出し始めた。
3月20~22日の3連休前は「7月開催が可能」と強調、早期収束の見通しを述べていた。しかし連休明けの23日になると、緊急会見で
「ロックダウン(首都封鎖)の可能性がある。何としても避けなければならない」と強い言葉で危機的状況を口にし始めたのだ。
『日刊ゲンダイ』や『週刊文春』『週刊新潮』など多くのメデイアが問題にするのは、
3連休中の外出自粛を小池知事が要請しなかったということだ。大阪府と兵庫県が府県間移動の自粛と呼び掛けたのとは対照的だ。このような楽観的対応を小池知事がしたのは、五輪開催を優先したためだったと見られている。
そしてちょうど花見シーズンでもあった3連休では、都内での外出が増加。これがその後の都内での感染拡大の原因となった可能性が高いことは、大阪や兵庫での同時期の感染者数が東京より少ないことからも明らかだ。
また和歌山県知事が安倍政権の方針に従わずにPCR検査を徹底的に進めて感染拡大防止に成功したことを見ても、小池知事の職務怠慢は明らかだ。五輪開催で安倍政権と足並みをそろえていた姿勢もまた、感染拡大の一因に違いない。
しかし小池知事は
五輪開催延期が決まったとたん、外出自粛要請の遅れやPCR検査数抑制などで感染拡大を招いた自らの職務怠慢を棚に上げた。その一方、頻繁に会見を開いて「ロックダウン」「オーバーシュート」といった強い言葉を発し、感染拡大防止の“火消し役”としてメデイア露出を繰り返した。まさに「マッチポンプ」、連続放火犯がいきなり消防署長になったかのような違和感を覚えた。