関連して、蓮舫議員が発熱後の日数について「
すごくざっくりとした説明をした」と指摘した3月10日の参議院予算委員会における専門家会議
尾身茂 副座長の発言も振り返っておきたい。当日、自らも医師である
共産党・小池晃議員は「37.5度以上、4日以上」というルールに疑問を持ち、公述人である
上昌弘氏と
尾身茂氏がそれについて意見を述べている。その際の3名のやり取りは以下の通り。
*尾身副座長の発熱後の日数に関する発言は赤字で表記する
小池晃議員:「今、政府は、まあ政府というか専門家会議もですけれども、三十七・五度、四日間は自宅で経過観察という、そういうことを言っています。私も、軽症の患者さんが医療機関に殺到して医療機能が麻痺するようなことは避けなければいけないのは、それはそうだと思うんですが、特に高齢者に三十七・五度、四日間は自宅で経過観察、これは肺炎に移行するような重症の患者さんを見落とす危険性はないんだろうか、こういう対応でいいんだろうかというふうに思うんですが、上公述人はいかがでしょうか」
公述人 上昌弘氏:「さすが先生、お医者さんですね。私、同感です。これはコロナウイルスの対策であって、高齢者の健康の対策になっていませんね。インフルエンザやほかの風邪でも熱が出ます。高齢者の場合、場合によってはすぐ点滴しないと脱水になりますし、解熱剤を使わないと体力が落ちます。患者さんを見ずにコロナウイルスを見ていると思います。初めて、免疫がないものですから、かかってしばらく免疫反応が起きないので、炎症反応が遅れるんでしょうね。そういう場合は臨機応変に対応しなきゃいけませんから、七度五分の基準というのは医学的に合理性がないと思います」
公述人 尾身茂氏:「その議員の四日の話、実はあの文書も、高齢者のことは例外規定をはっきり書いてあって、もう少しそれは我々も政府も説明すべきだったと思いますけど、はっきりもう申し上げたのは、
四日というのは普通の人で、高齢者とか基礎疾患がある人は二日となっていて、もっと言えば、
私、個人的にはもう初日でもいいと思いますけど、そうすると例のいっぱいになっちゃうということがあるので、まあこれは。一般の人はなぜ四日かというと、日本で、国際医療センターなんかで実際の国内の患者を診た臨床科の先生だと、どうも今回の場合には症状が随分長く続いて、
まあ五日ぐらいまで、で、症状が悪くなるのは一週間を超えてということがあるので、
一般の人は三日ぐらいまで少し我慢していていただいて。ただし、先生おっしゃるように、高齢者対策が肝ですので、
高齢者については四日じゃなくてもっと前にして。さらに、症状で特にだるさというのがかなり今回の特徴と、あと、もう初日から、デーワンから息切れだとか息の速さ、こういうものについてはもう初日からというふうに、だってそこのところの説明はそういうふうに書いてあって、もちろん高齢者とそうじゃない元気な人と一緒にするという趣旨じゃないので、ちょっとそこが少し説明の仕方が悪かったと思いますけど、そこはそういうことで、十分、議員の先生のおっしゃる高齢者の方はほっといたらもっと悪くなる、早めにやるというのはもう私も大賛成です」
尾身氏の発熱後から受診までの日数についての発言を整理すると以下のようになる。
・受診の目安は、普通の人は発熱後4日。高齢者や基礎疾患がある人は発熱後2日
・発熱後4日の根拠は、症状が5日ぐらい続くから
・個人的には初日(=1日)でも良いと思うが、(キャパシティが)一杯になってしまう
・一般の人は3日後までは我慢して頂きたい
日数がとても曖昧で、この1回の発言の中だけでも整合がとれてないような印象を受ける。だが、普通の人や一般の人について、発熱後3日もしくは4日まで我慢して頂きたいという主旨のコメントをしたことは動かざる事実だろう。こうした専門家会議の意向を踏まえて、厚労省は方針を決めたはずであり、加藤厚労相が主張していた「あくまで受診の目安として示した4日間ルールを、保健所や相談者は検査要件だと勝手に誤解した」という主張はさすがに通用しないだろう。
<文・図版作成/犬飼淳>