下記に両氏が推奨するファンドを掲げた。深野氏の薦めるファンドは、リスクコントロール型で危機に強そうだが、その分、信託報酬がやや割高。一方、完山氏の推奨ファンドは、信託報酬が0.1%台と安さが際立つ。
<深野氏が推奨するリスクコントロール型&バランス型ファンド>
▼投資のソムリエ
基準価額 12,040円
騰落率 0.35%(3か月) 4.25%(1年)
信託報酬 1.54%(年)
▼マンAHLスマート・レバレッジ戦略ファンド(スマレバ)
基準価額 9,889円
騰落率 -3.15%(3か月) ――%(1年)
信託報酬 1.2375%(年)
<完山氏が推奨するリスクコントロール型&バランス型ファンド>
▼ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)
基準価額 11,204円
騰落率 -8.97%(3か月) -2.96%(1年)
信託報酬 0.154%(年)
▼eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
基準価額 11,259円
騰落率 -21.62%(3か月) -11.08%(1年)
信託報酬 0.1023%(年)
分散効果を考えれば、「4資産型」より、多くの資産に投資する「8資産型」が秀でているように思えるが……。完山氏が続ける。
「ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)は、基本4資産に均等に投資する商品で、ポートフォリオの変更はリバランスなどの微調整のみ。3月の騰落率はマイナス4.9%と、コロナショックのダメージを受けている。これに対して、eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)はマイナス12.2%で、4資産均等型ファンドの倍以上に下げている。実はREITは株以上にハイリスクで、国内REITは日本株以上に値を下げた。さらに新興国の株や債券の下落も重なり、ファンド全体の下げに繫がりました。つまり、4資産より8資産と多くの資産に分散投資するファンドが、必ずしもリスクを抑えられるわけではないのです」
バランス型ファンドは、名称に安定・安心と謳うものが多いが、低リスクとは限らないので注意が必要だ。自分の投資スタイルに合ったバランス型やリスクコントロール型ファンドで危機に備えつつ、資産形成を目指したい。
・純資産額の大きいファンドを選ぶ
・運用実績(騰落率)は長期(3~5年)を見る
・信託報酬の安いものを選ぶ(0.5%以下がベター)
・「安心」「安定」など、ファンド名に惑わされない
【ファイナンシャルリサーチ代表・深野康彦氏】
ファイナンシャルプランナー。資産形成・運用に精通する。近著『10万円ではじめる! 人生100年時代の資産運用』(宝島社)ほか、著書多数
【FPオフィスK代表・完山芳男氏】
ファイナンシャルプランナー。米国公認会計士(ハワイ州)。日本FP協認定CFP。1級ファイナンシャルプランニング技能士
<取材・文/斎藤武宏 写真/朝日新聞社>