pearlinheart / PIXTA(ピクスタ)
いまだ新たな感染者が増え続ける新型コロナウイルス。実は感染経路の多くが”家庭内”ということがわかってきた。家の中でも特に感染リスクが高いスポットと、そこに潜む病原体を除去する方法を感染予防のプロに聞いた。
コロナ感染の8割が家庭内。汚部屋ではリスクが増大!
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。政府の専門家会議が「
人と人との接触8割削減を」と呼びかけるも、経団連が全会員企業を対象に4月に実施した調査では、
テレワークや在宅勤務が8割以上実現できたのは36.1%にとどまっている。取引先などの身近なところに感染者が現れ、明日は我が身、と危機を感じながら通勤している人々も多い。
感染予防策としてマスクの着用、帰宅後の手指消毒や手洗いが推奨されているが、それでも家の中にウイルスを100%持ち込まないようにするのは不可能だ。
実は、新型コロナがここまで世界的な大流行となった一大要因が「
家庭内クラスター」だ。
WHOと中国の調査では感染経路の約8割、東京都が行った調査でも7割超が家庭内感染によるものと発表されており、無症状の感染者が同居する人に無自覚に移しているケースも多いと見られている。
下記に、新型コロナについての最新の知見をまとめた。このウイルスは、主に飛沫感染と接触感染によって広がっていく。特に物の表面では、ウイルスの飛沫が生活汚れやホコリと混じり、数時間から数日間にわたって残存するとされている。つまり、汚れている部屋ほど、ウイルス感染リスクが高い“危険スポット”なのだ。
<ここまでわかってきた新型コロナウイルス>
▼新型コロナウイルスは3タイプに分類できる
新型コロナウイルスを遺伝子型で分類したとき、A、B、Cの3タイプに分けられることがわかった(※1)。Aタイプは中国の広東省や日本、アメリカ、オーストラリア、Bタイプは、武漢市を含む中国やその周辺地域の東アジア、Cタイプは、フランスやイタリア、アメリカ、ブラジルなど欧米を中心に、それぞれ感染が確認されている
▼新型コロナウイルスの残存時間はどれぐらい?
ステンレスで48時間、プラスチックで72時間後まで、新型コロナウイルスが残存していたと発表されている(※2)。一方で、4日後もウイルスが検出されたという報告も。それだけではなく、医療用マスクの外側表面からも、7日後に感染可能なウイルスが検出されたと発表されているのだ(※3)。いずれにせよ、数日間は感染するウイルスが残存している可能性は高いので、注意が必要である
▼新型コロナウイルスにはアルコールや石けんが有効
一般の風邪の原因となるウイルスや、猛威を振るった重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)の原因もコロナウイルスである。コロナウイルスの遺伝物質(RNA)は、「エンベロープ」と呼ばれる被膜で覆われている。この被膜の主成分は脂質で、アルコールや石けんによって破壊できることから、新型コロナウイルスもアルコールによる消毒や、石けんを使った手洗いが有効とされる
※1:イギリス・ケンブリッジ大学のピーター・フォスター博士らの研究チームによる
※2:アメリカの国立アレルギー・感染症研究所などの研究グループによる
※3:香港大学のレオ・プーン教授率いる研究チームによる
※上記の情報は4月24日時点のもの。新型コロナウイルスに関しては現在も研究が続けられており、これらは研究中の情報であることに留意してほしい
一方で、新型コロナが属するコロナウイルスは、脂質を主成分とする「エンベロープ」という被膜で覆われている。この被膜は、石けんや手指消毒に用いられるエタノールはもちろん、家庭用の中性洗剤で破壊できることがわかっている。新型コロナにも手洗いや消毒が有効なのは周知の通りだが、経済産業省が中心となって中性洗剤による洗浄効果を調べる検証も進められており、効果が実証されれば、ウイルスを不活性化させる選択肢を増やせるだろう。