2030年札幌オリンピックのための新幹線延伸で、北海道が汚染される!?

 2030年、北海道は「北海道新幹線の札幌延伸」と「札幌オリンピック」の同時実現を目指している。そのビッグイベントのために北海道の大地が汚染されようとしている。

鉛、カドミウム、ヒ素などを含む汚染残土の埋め立て計画 

旧鉱山の沈砂地

旧採石場の沈砂池に立つ「守る会」の大平三千夫さん(右)と堀井克幸さん

 2019年12月11日。筆者は北海道札幌市手稲区金山(かなやま)地区の森を歩いていた。空気がおいしい。鹿のフンもところどころで目にする。  案内してくれた市民団体「有害掘削土から手稲の水と安全・健康を守る会」(以下、守る会)の大平三千夫さんが小さな池のほとりに立つ。数十年も前に稼働していた金山(きんざん)、手稲鉱山で使われていた沈砂池だ。  池の向こうは見上げるような急斜面。肉眼でその奥はもう見えないが、急斜面の奥にはさらに急勾配の鉱山の採石場跡地がある。そこに、東京ドーム1杯分に相当する110万㎥もの汚染土壌が積まれるという。
鹿のフン

現地では鹿のフンは当たり前に落ちている

 その汚染土壌は、北海道新幹線の工事で排出される残土のなかでも「要対策土」と呼ばれ、鉛、カドミウム、ヒ素などの重金属を含む。すぐ近くには川も流れ、浄水場もある。小学校も中学校もある。  この手稲鉱山閉山後の1986年12月、コンクリートで密閉した坑口の脇から突然、鉱毒を含んだ鉄砲水が噴出して手稲区の住宅地を襲った。数十戸の床下浸水に加えて、国道5号線やJR本線も運行停止となり、住民は以後10年間の野菜栽培や山菜採りの禁止を要請されたほどの事件だった。  その場所に持ち上がった汚染残土の埋め立て計画。この事件を覚えている大平さんは「私たちは北海道新幹線には反対はしない。でも住民生活に不安を与える残土埋め立てには断固反対します」と明言した。

汚染残土が積まれる場所は、傾斜35~40度の急斜面

金山周辺の見取り図

金山周辺の見取り図

 北海道新幹線は、函館市近くの新函館北斗駅まで開通しているが(2016年3月26日開業)、JR北海道はそれを小樽市経由で札幌市まで延伸する計画で、2030年の全線開通を目指している。  延伸区間は212Km。そのうちトンネル区間は80%の169Km。そのトンネル工事で排出される残土は約2100万㎥。建設主体である独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」(以下、鉄道機構)は、このうちの約3割が「鉛、カドミウム、ヒ素などの重金属」を含む自然由来の汚染土壌になると予測している。鉄道機構はこれを「要対策土」と呼ぶ(有害物質を含まない残土は「無対策土」と呼ぶ)。  トンネルのなかでも、小樽市と札幌市の区間には「札樽(さっそん)トンネル」と呼ばれる全長26.2Kmのトンネル区間があり、このうち札幌側では約340万㎥の残土が排出される。そのうちの約110万㎥(東京ドーム1杯分)が「要対策土」として手稲区の鉱山跡地に置かれるというのだ。  2019年7月31日、鉄道機構が金山地区で初めて住民説明会を開催した。「守る会」メンバーのSさん(40代男性)は、今でもその驚きを隠さない。 「いやあ、びっくりしました。だって『要対策土』を積むのは、採石場跡地の傾斜35~40度もある急斜面というんです。もしそれが崩れたら、周辺の河川や浄水場も住宅地も汚染されることになる」
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杜撰な「要対策土」の処分
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