今年の後半のスペインは大不況に見舞われる可能性が非常に高い。それには安定した政権が必ず必要であるが、社会労働党とポデーモスの連立政権による考え方の違いが時に鮮明になる時がある。うまく歯車があっていないのだ。
既に、社会労働党のナディア・カルビーニョ経済相はポデーモスの閣僚が主張する経済政策とかなりの開きを感じており、辞任をサンチェス首相に提出したという噂もある。特に、EU委員会との折衝は彼女の担当となっている。EU委員会の方針とかなり違いのあるポデーモスの政策を政府の案として採用した時もそれをもってEU委員会に臨めないという立場にあるからである。しかも、政府与党は議会で過半数の議席をもっていない。だから、今年後半に不況が深刻になった時点で現政府が議会で野党からの攻撃が盛んになった時点でそれを乗り切れるか疑問でもある。
<文/白石和幸>