新型コロナで中止になった1万人規模のイベント「技術書典8」、オンライン開催への挑戦

遠隔イベントは、対人イベントの隙間を埋められるのか

 新型コロナウイルス以降、技術系のイベントは、取りやめになったりオンライン開催になったりしている。講演を中心としたイベントの場合は、ストリーミングで流すなどして対処をしている。  難しいのは物販をともなうイベントだ。イベント会場というのは、いわば非日常だ。そこでの購入は「せっかく来たのだから」「記念に買って帰ろう」という意識が働く。しかし、オンラインイベントでは、そういった非日常の意識は薄い。よほどの理由がなければ、購入には踏み切らない。  今回は「新型コロナウイルスで中止になった」という理由が、非日常を作っている。しかし、収束したあとも同じ方式で成功するのは難しいだろう。  過去に多くのダウンロード販売サイトで、様々なイベントがおこなわれて私も参加した。しかし商品が購入されるのは、「割引」という実利があった時がほとんどだ。単にテーマを設けて商品を集めても、購入者は盛り上がらず、買おうという意欲は生まれない。  今回の新型コロナウイルスの騒動では、無観客試合やコンサートなど、オンラインイベント以外にも様々な試みがおこなわれている。  リアルに頼らず、非日常を作る。そうした試みの中から、新しいスタンダードが生まれてくれば面白いと思っている。 <文/柳井政和>
やない まさかず。クロノス・クラウン合同会社の代表社員。ゲームやアプリの開発、プログラミング系技術書や記事、マンガの執筆をおこなう。2001年オンラインソフト大賞に入賞した『めもりーくりーなー』は、累計500万ダウンロード以上。2016年、第23回松本清張賞応募作『バックドア』が最終候補となり、改題した『裏切りのプログラム ハッカー探偵 鹿敷堂桂馬』にて文藝春秋から小説家デビュー。近著は新潮社『レトロゲームファクトリー』。2019年12月に Nintendo Switch で、個人で開発した『Little Bit War(リトルビットウォー)』を出した。2021年2月には、SBクリエイティブから『JavaScript[完全]入門』、4月にはエムディエヌコーポレーションから『プロフェッショナルWebプログラミング JavaScript』が出版された。
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