家で退屈している子供と一緒にNetflixで観たい、オトナこそ感動するファミリー映画15選

ひねくれものにオススメ?一風変わった設定のアニメ映画4選

6:『スモールフット』(2018) スモールフット 上映時間:1時間36分  人里離れた雪深い村で暮らすイエティが、小さな足を持つ人間(=スモールフット)に出会うことから始まるファンタジーだ。主軸として描かれるのは「未知の土地の開拓」「異なる文化の相互理解」「伝統を重んじる価値観」など、世界中にある歴史そのもの。原理主義的な考えで凝り固まっている閉鎖的なコミュニティの功罪、“知る”ことの良い面も悪い面も示しているなど、オトナこそがその社会派の一面にハッとできる内容となっている。  イエティと人間が言葉が通じなくても友情を育んでいく過程は微笑ましいし、個性的なキャラが織りなすドタバタコメディとしても楽しい。日本語吹き替え版に木村昴、宮野真守、早見沙織、立木文彦など超人気声優陣が勢ぞろいしているのも大きな魅力だ。雪景色や見事なミュージカルシーンなど『アナと雪の女王』(2013)と共通点も多いので、そちらが好きな子供にも大推薦できる。 7:『シュレック』(2001) シュレック 上映時間:1時間30分  「白馬の王子様が悪者をやっつけて、美しいお姫様と結婚して幸せになりました」というおとぎ話やディズニー作品へのアンチテーゼと言うべき作品だ。何しろ主人公は周りから恐れられている怪物、相棒はおしゃべりでうざったいロバ、果てはお姫様も…(ネタバレになるので自粛)という設定なのだ。「ピノキオ」「白雪姫」「赤ずきん」「三匹のこぶた」など誰もが知る物語をイジった、ややブラックなギャグも豊富に用意されている。  これは同時に、コンプレックスについての寓話でもある。ほとんどの人が持ちうる容姿への自己否定感は普遍的な問題であるし、そのセンシティブなテーマに対して全く欺瞞とならない結末が用意されている。4作目まで作られた続編(いずれもNetflixで鑑賞可能)でも、それぞれ「めでたしめでたし」の先にある友情や結婚観などを描いた、人生の酸いも甘いもかみ分けたオトナこそが身につまされる内容となっている。 8:『LEGO ムービー』(2014) LEGO ムービー 上映時間:1時間40分  そのタイトル通り知育玩具のレゴをモチーフにしたアニメ映画だ。しかし、子供の観る映画だと決して侮ってはいけない。シャワーの水や機関車の煙に至るまで全てがレゴで表現された世界は圧巻の一言、大迫力のカーチェイスやバトルが展開し、果てはレゴというおもちゃの素晴らしさそのものを訴えるメッセージ性など、とんでもないクオリティにオトナからも絶賛の声が相次いでいたのだから。  さらには現代社会への皮肉もある。物語の最初から「明るく見えるようで実は搾取されている社会」が明確に提示されており、主人公は“マニュアル通りすぎる生活”をしているがためにその異常性に気づかないのだ。終盤に訪れるネタバレ厳禁の衝撃の展開も、オトナこそが痛烈に心に突き刺さるだろう。なお、直接的な続編である『レゴ ムービー2』(2019)や、同じ監督による食べ物が雪崩のように襲ってくる奇天烈さがある『くもりときどきミートボール』(2009)もNetflixで鑑賞できる。 9:『ターボ』(2013) ターボ 上映時間:1時間35分  「指先サイズのカタツムリが人間が乗るマシンが出場するレースに参加する」というとんでもない設定の作品だ。「お前には絶対に無理だ」と周囲に言われても「それでも夢を叶えるんだ!」と負け組が一念発起する映画作品は数多いが、その中でも突出して「いやマジで無理だろ!」と思わざるを得ない内容となっている。  そんなわけで物語のとっかかりはムチャという他なく、実際に主人公が強大なパワーを手に入れる理由もユルすぎて逆に大笑いしてしまうのだが、それも含めて楽しい作品だ。タコス屋の兄弟のキャラがとにかく可愛らしく、脚本はしっかり一本芯が通っており、レースシーンは作り込まれていて大迫力、そしてラストにはしっかり感動させられる。同じくレースをモチーフにしたピクサー作品『カーズ』(2006)とは似て非なる魅力が満載なのだ。

日常と地続きの冒険が描かれた日本のアニメ映画2選

10:『ペンギン・ハイウェイ』(2018) ペンギン・ハイウェイ 上映時間:1時間59分  町になぜか出現したペンギンの謎を追うジュブナイル(少年期)ファンタジーだ。主人公は謎について論理的に証明しようとする少年で、あり得ない現象を通してその探究心を追求し、“わかろうと努力すること”を肯定する物語になっている。そのメッセージは、教育的にもとても正しく尊いものだ。  不可思議な世界観や哲学的な思考はオトナが唸るだろうし、子供にとっても少年たちが一夏の冒険をする様は楽しく観られるはずだ。アニメーションとしてのクオリティもとても高く、ひょこひょこと歩き回るペンギンたちを眺めているだけで笑顔になってしまうし、疾走感溢れるクライマックスには大きな感動がある。なお、本作を手がけたスタジオコロリドの最新作『泣きたい私は猫をかぶる』が6月5日に公開予定となっている。 11:『マイマイ新子と千年の魔法』(2009) マイマイ新子と千年の魔法 上映時間:1時間33分  昭和30年代の山口県に暮らす空想好きな女の子の冒険と、その1000年前のひとりぼっちの少女の物語が並行して描かれた作品だ。当時のアイテムや世相が再現されていることが楽しく、そのディテールのこだわりとアニメとしてのハイクオリティぶりは、絶賛の嵐で迎えられた同じく片渕須直監督作『この世界の片隅に』(2016)(こちらもNetflixで鑑賞可能)に通じている。  ほとんどで平和な日常が描かれるが、終盤にはシビアな現実の問題が顔を出す。主人公の女の子は天真爛漫で純粋無垢な女の子なのだが、やがて現実でしかも“オトナの世界での戦い”を余儀なくされる様は、子供よりもオトナがハラハラしてしまうことだろう。日々の生活の素晴らしさと、人々の優しさを丹念に綴った、知る人ぞ知る名作だ。

一筋縄ではいかない、記憶に残る実写映画4選

12:『PAN ネバーランド、夢のはじまり』(2015) PAN ネバーランド、夢のはじまり 上映時間:1時間51分  誰もが知る「ピーター・パン」の物語をベースに、まだ空を飛ぶ才能を知らなかったピーターや、鉤爪を持っていないころの若き日のフック船長の姿を描いた、いわゆる“エピソードゼロ”的な作品だ。巨費をかけたセットや最先端の映像技術によるファンタジックなネバーランドの世界、『ゼロ・グラビティ』(2013)のオマージュである無重力シーン、『インディー・ジョーンズ』シリーズのようなギミックのあるアクションなど、万人向けのエンターテインメントの要素が揃っている。  それでいて、キャラクターの内面に注目すると、実に奥深い作品でもある。悪役である“黒ひげ”は「実はピーターに殺されたがっているのでは?」とも思える切ないキャラクターであるし、それと相反するようにピーターが伝説やおとぎ話を信じようとしない現実主義的な面を見せているというのも面白い。ニルヴァーナの「Smells Like Teen Spirit」やラモーンズの「Blitzkrieg Bop」という名曲を海賊たちが歌うシーンも強烈な印象を残すだろう。 13:『シャザム!』(2019) シャザム! 上映時間:2時間12分  バットマンやワンダーウーマンなどで知られる、DCコミックを原作としたヒーロー映画だ。特に子供にオススメできる理由は、主人公が本当に子供であるということ。14歳の少年がオトナの体を持つスーパーヒーローとなるというギャップが楽しく、その少年ならではの戸惑いの気持ちや、調子に乗り過ぎてしまうが故の行動などがコミカルなギャグとして描かれているので、誰もが楽しく観られるだろう。  しっかり人を助けるヒーロー本来のカッコイイ姿、ちょっぴり怖いホラー要素、終盤にはネタバレ厳禁の最高のサプライズも用意されているなどサービス精神も満載。関連作品を観ていなくても全く問題なく楽しめるので、ヒーロー映画を初めて観るという方にもオススメできる。それでいて、アメリカにおける里親制度もリアルに描かれており、「血の繋がりのない者同士でも家族を作ることができる」ことの尊さも訴えられているのも素敵だ。 14:『ピーターラビット』(2018) ピーターラビット 上映時間:1時間35分  原作は有名な児童書であり、一見するとゆるふわカワイイ映画のイメージもあるかもしれないが、実際の本編は「人間とウサギが女とシマ(土地)を巡って生死をかけたバトルを繰り広げる」という動物版アウトレイジな内容である。何しろウサギたちは人間の家を我が物顔で占有しパリピのようにどんちゃん騒ぎをして、やがてお互いが本気でダイナマイトを投げ合うことになる。なんだこれ。  こう書くとひどく教育的に悪い映画に思われるかもしれないが、そんなことはない。なぜなら、“やりすぎた”ということがたしなめられ、それをもってふざけすぎたりケンカをし続けてしまうことがいかに不幸を招くかとも学べるからだ。むしろ、やんちゃないたずらっ子にこそ観てほしい内容と言えるだろう。コメディ、ミュージカル、ラブストーリー、アクションなど様々なジャンルの面白さが渾然一体となっているので万人にオススメだ。

15:『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(2014)

オール・ユー・ニード・イズ・キル 上映時間:1時間53分  見た目はハードなSFで、この記事で掲げた中では幾分オトナ向けに思えるかもしれないが、実のところほとんどの人が「面白い!」と認める作品だ。同じ1日を繰り返すという“ループもの”であり、何度も何度も戦いに赴く様は“死んで覚える”というテレビゲーム的なエンタメ性に満ちていて、時には同じシチュエーションが“天丼”的なギャグにも昇華されていたりもするのだ。  パワードスーツや戦闘機などのガジェットは男の子心をくすぐり、トム・クルーズ演じる小狡くてへタレだった男がどんどんたくましくなっていく様はニヤニヤが止まらない。原作はなんと日本のライトノベルであり、こうして巨費を手がけたハリウッド映画になるというのも夢のある話だ。なお、近年の同じくループもので万人が楽しめる快作には『ハッピー・デス・デイ』(2017)とその続編の『ハッピー・デス・デイ 2U』(2019)もあり、こちらはAmazonプライムで現在見放題となっている。

まとめ:Netflixのメリットとは

 Netflixが他の配信サイトに比べ優れているのは、やはりコンテンツの強さにあるだろう。前述した『クロース』や『ネクスト ロボ』の他、『ROMA ローマ』(2018)や『マリッジ・ストーリー』(2019)や『アイリッシュマン』(2019)などアカデミー賞にもノミネートされたオトナ向けのオリジナル映画は(一部での劇場公開を除いて)Netflixでしか観ることができないし、オリジナルドラマの『ストレンジャー・シングス』シリーズは世界中でブームとなった。劇場公開された新作・準新作となる話題作も、他の配信サービスに比べて早めに見放題になることも多い。  また、字幕の充実もNetflixならではのメリットだ。他の配信サービスでは特に日本映画で字幕がついていないことも多いのだが、Netflixで配信されている作品のほとんどに字幕が個別に制作されている。聴覚障害を持つ方にとってありがたいのはもちろん、言語別の字幕も用意されていることがあるので語学学習にも役に立つだろう。  また、Netflixの月額料金プランはベーシックプランの800円、スタンダードプランの1200円、プレミアムプランの1800円という3種類が用意されている(いずれも税抜)。それぞれ画質や別々の機器での同時視聴可能数が異なるので、自身に合った料金プランを選ぶのが良いだろう。1ヵ月無料体験も実施されているので、この機会にぜひ試してみてほしい。 <文/ヒナタカ>
雑食系映画ライター。「ねとらぼ」や「cinemas PLUS」などで執筆中。「天気の子」や「ビッグ・フィッシュ」で検索すると1ページ目に出てくる記事がおすすめ。ブログ 「カゲヒナタの映画レビューブログ」 Twitter:@HinatakaJeF
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