さまざまな企業の役員や管理職に対して演習し、その後、実際の面談で活用していただいた結果をふまえると、この
5つの質問のやりとりをしてから、評価の言い渡しをすると、やりとりが険悪になりにくいことがわかっている。
「やってみてどうでしたか?」という質問は、上司が部下を
色眼鏡なく見ているメッセージを部下に送ることができる。「うまくいったことは何ですか?」という質問は、上司は
部下の良いところを見ているというメッセージだ。「うまくいかなかったことは何ですか?」という質問は、表現さえ待ちあげなければ、
さらなる成功のために聞いているというメッセージが伝わる。
「どのように改善したいですか?」という質問は、上司が
部下を信頼しているというメッセージを含む。最後の「サポートを得たいことは何ですか?」という質問と、サポートを得たいことを約束することは、上司は部下を裁いているのではない、
支援しているということを伝えることができる。
その上で、評価のすり合わせに入ると、「評価は○○だ。しかし、(部下の)○○さんが既に計画しているように、○○の取り組みをすれば、次の期間は高い評価が得られるに違いない。そのために、(上司の)私も、○○のサポートをしっかりと行う。一緒に取り組んでいこう」という締め括りをやすくなるのだ。
質問:評価面談であることに変わりはなく部下を緊張させてしまう
期末の面談では、上司は部下の業績を評価しなければならないので、部下を緊張させてしまいます。 「評価面談ではない」と言うわけにもいかないので、結局、
部下を緊張させてしまうことは避けられないのでしょうか。
回答:評価は育成のための手段
大事なポイントは、
評価は目的なのか、それとも手段なのかということです。評価を今後の育成のための手段であると考えれば、「期末業績評価をしますが、それをふまえて上司としても支援して、来期さらに活躍できるために面談しましょう」というように言うことができます。
そうすることで、上司と部下との面談を、過去のダメ出しをされるネガティブなものから、今後の
さらなる発展を語り合うポジティブなものに転換できる可能性が高まります。
【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第182回】
<文/山口博>