世界中の国が新型コロナ禍で国民救済の経済政策を打ち出す中、中身もなければ規模も小さく、タイミングも遅い日本の経済対策の愚

権力者自らルールや規範を軽んじることで広がる日本人全体の緩み

 新型コロナウィルス 問題は健康と命に関わる問題である。特に日本の高齢化率は最悪の感染爆発を起こしているイタリアよりもひどく、人口ひとり当たりの医師数も少ない。中国のような一党独裁の国家でもないはずなので強制的に企業活動を停止させたり、国民に自宅待機を強いるのも難しいはずだ。しかし、権力側から自粛の要請があれば、国民はそれに見事に対応してみせるのが日本人の本来の姿であるはずだ。それがどうも今回は機能しない。もう一度申し上げるが、自分と家族の健康と命に関わる問題であるにも関わらず、多くの国民からは自粛疲れなどとまで言われる。私なら自分の命に関わるのなら、数ヶ月でも自宅に閉じこもることを厭わない。なぜなのだろうか? 私は二つの問題があるように思える。  ひとつは、政権と国民の信頼感がかつてないほど落ちていること。そして、政府の感染対策とその対応に一貫した本気感が見られないことだ。  2月26日に安倍首相が多くの人が集まるイベントや集会の自粛を要請し、特に政府の専門家会議からも、立食形式のパーティは感染しやすいので特に避けるべきとした当日のこと。人気グループ、エグザイルやパフィーなどスタジアムなどで大型公演を予定していたアーチストたちは急遽公演を中止した。何億円もの損害を被っただろう。それに対して、安倍首相の懐刀の首相補佐官であり現職国会議員の秋葉賢也氏は地元選挙区のある仙台で政治資金パーティを強行した。それも、避けるべき立食形式のものだった。メディアの追及に対し秋葉氏は、“当日のことで仕方なかった。他にもパーティを開催した議員がいるのになぜ自分だけ責めるのだ”と開き直った。私は首相は秋葉氏を更迭すると思っていたのだが、3月末現在、現職に留まっている。首相はそれを許したのだ。  さらに、週刊ポストは、東京都が花見を自粛している下で、事もあろうに首相夫人の安倍昭恵氏がジャニーズのタレントやモデルなどを集めて宴会を開催していたと画像とともに報じた(首相は27日の国会で公園での花見ではなく、敷地内に桜の木のあるレストランでの会合だから問題ないとした)。  政権の中枢がこういう失態続きで国民にだけ自粛をしろということは無理がある。もちろん権力者であっても、間違いや問題を起こすことはあるだろう。しかし、この政権ではいつもそれに対して責任を取らせず、襟も正してこなかった。  今年に入ってからだけでも、検察人事、法務大臣の暴言、カジノに関わり逮捕者まで出した汚職問題、自らに近い議員の公職選挙法違反に関することも全てにうやむやである。ルールや規範に緩いのである。それを国民は見ている。こうして、国民と権力との信頼関係が薄まってきたのではないかと考えている。  もっと深刻なのは、この政権と国民の間の信頼というだけでなく、首相を支持する層も含めて、ルールや規範に対して生真面目すぎるくらいに大切にしてきたその日本人気質そのものをゆるゆるに変貌させてしまったのかもしれないことである。

本気度を感じない日本政府の対コロナ経済対策

 もう一つはなんといっても、新型コロナウイルス問題に対する対策と対応に一貫した本気感が見られないことである。  先に述べたように、対策は後手後手だったアメリカやイギリスでさえも、その問題に対する対応、特に個人(=有権者であり納税者)の生活を守る政策は早かった。自宅待機、都市封鎖などの我慢を強いる政策を打ち出すとほぼ同時に国民を救済する政策も打ち出している。  日本政府は国民に自粛は求めるけれども、その救済策は果たして真面目に議論しているのか?と思われるものばかりだ。休校措置で自宅待機を余儀なくされた保護者に対する給付案では、給与所得者とそうでない人とで2倍の差をつける、現金給付はするが1万2000円と極端に少額だったり迷走する。諸外国が休業補償、救済措置を次々と打ち出すのに、日本では現金給付では懐に入れるのではないか、だから貯蓄に回らない商品券、それもお肉商品券だ、お魚商品券だと、およそ真面目に考えているのか?と疑われても仕方のないような案が与党議員から出てきてしまう。それも、実施できるのは早くても夏ごろだという。  すでに1月には新型コロナウィルス 問題は国内の問題となっていた。ダイヤモンドプリンセスのクルーズ船汚染、東京と関西を往復した観光バスドライバーやガイドの感染、和歌山での院内感染など連日メディアが大きく報じていた。しかし、3月も末になっても、国民や企業への自粛の要請はしたとしても、国民や企業へのまともな救済パッケージは出てこない。  危機に対する政策は、その中身と規模、そしてタイミングがとても大切だ。中身もなければ、規模も小さく、タイミングは遅すぎる。1月に問題が起きているのだから、遅くても4月上旬には具体的な支援が始まってもいいはずである。実態はコロナウイルスの対策に乗じて、族議員が自らの支持母体の支援になるような突飛な救済策を出す始末だ。  言わせてもらうと、現金給付以上に商品券配布となると、その事務経費も事務作業に関わる作業も膨大なものなる。1兆円の商品券を発行すれば、その経費は2000億円は必要と思われる。それを、現金給付にすると、貯蓄に回す人が出てくるからと商品券にこだわる。確かに個人の貯蓄に回る部分もあるだろう。しかし、事務経費と消えるのとどちらがいいか、時間もかかり、現場の公務員、商店などが事務作業に忙殺されることも考えれば、どちらが健全かは誰でもわかる。  今は固定資産税の減税案も出てきている。しかし、一番手を出し述べて欲しいのは固定資産(マイホームなど)を持っていない世帯だということをわかっていない。本気の新型コロナウィルス対策を早く打ち出して欲しいと切に思う。
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当面の救済と中期的な対策を講じろ
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