「新型コロナショック」でマーケット激震。世界的に株価は持ち直すのか?<闇株新聞>

3月13日に見られた新たな「兆候」

 この状態は3月3日の緊急利下げ時にさらに加速し、FRBは1日で1200億ドルの短期金利を供給し、その週後半には1日当たり史上最高額の1500億ドルに供給量を増加させている。通常の利下げは、低金利により追加の資金需要を引き起こして経済活動を活発にするためであるが、米国市場では短期市場で必要なドル資金を調達できない米国内外の銀行や新興国(中央銀行)、一般企業がその短期市場でひしめき合っていたことになる。  つまり、いくら市場にドルが有り余っていても、そのドルが調達できないほど信用状況が低下してしまった内外の銀行や低開発国の中央銀行、一般企業が存在していたのである。  また、株価が上昇しても長期国債利回りまで低下していた理由は、米国債には低格付け債券や同ローンから逃避した資金の受け皿としての側面があり、昨秋頃から低格付け債券や同ローンから資金が大量に逃げ出し、米国債に向かっていた。株価暴落中はその動きが加速したと考えられる。    米国10年国債利回りは年初の1.92%、株式暴落が始まる直前の1.47%(すでに利回りが低下していたことに注意)、FRBが緊急利下げした3月3日が1.00%、株価がさらに暴落した3月9日には一時0.36%と、パニック的に下がり続けている。  これは低格付け債券や同ローンからの資金逃避が同じようにパニック的に加速していたことを意味する。  3月13日東京時間の米国10年国債利回りは、世界的に株価が暴落したにもかかわらず、夕方には0.90%まで上昇している。  その後、 米時間の3月15日(日本時間では今日未明)にはFRBが1%の緊急利下げに踏み切り、政策金利は0~0.25%へと引き下げられたが、これは3月17~18日のFOMCでの実施が予想されていたものにすぎず、利下げ実施後も米国10年国債利回りは0.7%台で踏みとどまっている(※3月16日10時10分修正)。  これは低格付け債券や同ローンからの資金逃避が一段落したことを意味し、同時に世界的な株価暴落も徐々に落ち着きを取り戻す「兆候」であると考える。 <文/闇株新聞>
‘10年創刊。大手証券でトレーディングや私募ファイナンスの斡旋、企業再生などに携わった後、独立。証券時代の経験を生かして記事を執筆し、金融関係者・経済記者などから注目を集めることに。2018年7月に休刊するが、今年7月に突如復刊(「闇株新聞」)。有料メルマガ配信のほか、日々、新たな視点で記事を配信し続けている。現在、オリンパス事件や東芝の不正会計事件、日産ゴーン・ショックなどの経済事件の裏側を描いた新著を執筆中
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