新型コロナショックで暴落……かと思いきや、ここのところ中国株が「右肩上がり」なワケ

「不景気になるほど相場は上向く」中国?

「海外の市場参加者の目を気にせずに対策を打てる一党独裁体制は、有事に際しては強みとも言えます。だから、中国は『不景気になるほど、相場は上向く』などとも言われる。特に今年は節目の年。習近平政権が’20年のGDPを’10年比で倍にするという目標を掲げてきたことを考えれば、新型肺炎騒動で萎んだ景気を刺激するための金融緩和と大規模な財政出動を今後行っていくことは間違いありません。昨年11月に中国国内で5Gサービスが開始されるなど、格好の投資材料もある。上海総合指数でいえば、年内に3500ポイント(直近価格の15%増)を回復する可能性が高いと見ています。特にハイテク銘柄は肺炎騒動をものともせず、大きなパフォーマンスを上げるでしょう」(田代氏)  では、どんな銘柄が狙い目か? テンセントの一銘柄だけで33倍ものリターンを得た経験を持つ億超え投資家のよしぞう氏が話す。 「中国のメガプラットフォーマーとして知られるアリババ、テンセントは外せません。個人のプライバシー保護などよりも政府の権限が強い中国では、ITやAIの発達・普及のスピードはすさまじいものがあります。その恩恵に最もあずかれるのが、この2社。一方で、平安保険は金融総合サービスを展開する中国有数の企業ですが、アリババに次ぐ特許申請件数を誇るほどIT化に積極的で、オンライン診察用のアプリを提供する平安健康医療科技などを傘下に持つ。本業の保険は新型肺炎騒動が追い風になりやすいうえに、成長著しいテック系銘柄としての一面もあるので要注目です」  よしぞう氏は「昔から海外の投資家に開放されている点で、上海や深圳に比べて安定感、信頼感がある」という理由から香港上場銘柄をピックアップしてくれたが、今からテンセント級の超絶パフォーマンスを目指すなら上海銘柄にも要注目。田代氏の推奨銘柄も加味しながら、逆張り中国・香港投資にチャレンジしたい!

プロが注目【逆張り中国・香港株9選】

▼よしぞう氏 推薦 ●テンセント/騰訊控股(00700) 市場:香港 最低必要投資額:約60万円 株価/売買単位:401香港ドル/100株 PER:40倍 配当利回り:0.22% 時価総額50兆円。スマホ用メッセージアプリ「微信(WeChat)」で11億人以上のユーザーを保有し、コンテンツ配信や決済、投資事業も展開。中国決済市場はアリババと完全に2分 ●中国平安保険(02318) 市場:香港 最低必要投資額:約60万円 株価/売買単位:88香港ドル/500株 PER:13倍 配当利回り:2.6% 中国の金融総合グループ大手。中国で生保シェア2位、損保位。銀行業も手掛けるほか、IT化、にも積極的。新型肺炎騒動により保険販売が好調で、前期は39%の増益に ●美団点評(03690) 市場:香港 最低必要投資額:約15万円 株価/売買単位:103香港ドル/100株 PER:- 配当利回り:- フードデリバリー大手。ユーザー数は6億人以上。出前のネット注文に口コミサイトを合わせて成功し、ホテル・旅行予約などにも展開。赤字続きだったが、直近2四半期は黒字に ●平安健康医療科技(01833) 市場:香港 最低必要投資額:約10万円 株価/売買単位:75香港ドル/100株 PER:- 配当利回り:- 平安保険傘下で、「平安好医生」という医療アプリを提供。オンライン診察で先行し、新型肺炎騒動が追い風に。5Gサービスで高速通信化が進めばさらに、業績拡大が見込めるか ●アリババ・グループH/阿里巴巴集団(09988) 市場:香港/NY 最低必要投資額:約30万円 株価/売買単位:206香港ドル/100株 PER:43倍 配当利回り:- 時価総額60兆円超え。中国のプラットフォーマー最大手。ECサイト「アリババドットコム」を皮切りに、決済サービスのアリペイやAI、投資事業などさまざまな分野に展開 ▼田代氏 推薦 ●ZTE/中興通訊(00763) 市場:香港 最低必要投資額:約10万円 株価/売買単位:35香港ドル/200株 PER:56倍 配当利回り:- 中国の通信機器大手。スマホ、データ端末などの製品のほか、携帯電話基地局などの通信インフラや電力事業も展開。中国国内の5G本格化などが追い風に ●シャオミ/小米集団(01810) 市場:香港 最低必要投資額:約3万5000円 株価/売買単位:12.5香港ドル/200株 PER:13倍 配当利回り:- 中国の大手スマホメーカー。スマートテレビやネットサービスなど幅広く展開。今年は消費者金融にも進出。若い層からの人気が高く、インドなどでもスマホで高シェア ●ハイクビジョン/杭州海康威視数字技術(002415) 市場:深圳 最低必要投資額:約5万5000円 株価/売買単位:37元/100株 PER:28倍 配当利回り:1.6% 監視カメラは世界トップ。精度の高い顔認証技術が強みだが、情報セキュリティ面での不信感から米国市場ではシェア低下中。だが、イスラム過激派のテロなどが追い風に ●ラックスシェア/立訊精密工業(002475) 市場:深圳 最低必要投資額:約7万5000円 株価/売買単位:49元/100株 PER:68倍 配当利回り:0.08% 中国の接続ケーブル製造大手。コネクター、RFアンテナ、Bluetooth部品など製造するものは多岐にわたる。昨年11月から開始された5Gサービスを追い風に売り上げ拡大は必至か ※株価は’20年2月26日現在。複数の市場に上場している銘柄は、香港市場のデータのみ掲載 【TS・チャイナ・リサーチ代表 田代尚機氏】 大和総研時代に北京に9年間駐在して、中国株担当アナリストなどを経験。その後、内藤証券でも中国株を担当。現在、中国株専門アナリストとして活躍中 【中国・香港株“億り人” よしぞう氏】 ’04年に100万円の元手で中国株投資を開始し、’18年に億超えを達成。テンセントだけで5000万円以上の利益を獲得した投資実績などをブログで公開中 <取材・文/吉岡 俊 池垣 完(本誌) 図版/ミューズグラフィック>
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