「○万円で暮らせるバンコク」の嘘。まともに暮らせる生活費を見積もってみた

さらに「遊興費」なども入れれば……

移動手段で安いのはバス

移動手段で安いのはバスだが、タイは渋滞がひどいので時間が読めない

 また、前掲の見積もりには雑費は含んでいない。これに趣味や友人との飲み会などを合わせていくと、もっとかかる計算になる。終電後、あるいは店によってはタクシーも使うことになる。それから、暑いのでときには甘いもの・冷たいものもほしくなるし、服や諸々にもカネはかかる。  近年はSNSの発達で、一緒にいなくても友人の動向が見えるようになったし、次々に興味深い飲食店やスポットがオープンしている。2000年代前半は日本人が今の3分の1以下でSNSもなく、そもそも和食店がこんなになかった。そんな中ではタイ式の暮らし方もできた。今は情報がたくさん入ってきてしまうので、どこにも遊びに行かずに暮らすというのは修行僧並みの苦痛を感じるかもしれない。友人らが華やかに遊んでいるのを見れば、心が揺らぐものだ。  いわゆるノマドワーカーのように、タイの日本人社会と接することなく、しかも短期間の滞在なら月に5万円でもいられる可能性はある。ただ、どの国も同じだが、カネを落とさない外国人は歓迎されない。また、少なくともタイは労働許可証なしで働くことは許されていないので、ある程度ちゃんとした身分を確保すると、どうしても上記の一覧くらいの金額はかかってしまう。東南アジアは安いというのは今や幻想に近い。  とはいえ、ここまでの話は収入を考慮していない。タイで現地採用者として働く場合、5万バーツ前後からが相場となる。スキルがあれば8万バーツ、あるいは10万バーツを稼ぐこともできるので、現地採用の給料でも日本より豪勢な暮らしができるのは事実である。 <取材・文・撮影/高田胤臣>
(Twitter ID:@NatureNENEAM) たかだたねおみ●タイ在住のライター。最新刊に『亜細亜熱帯怪談』(高田胤臣著・丸山ゴンザレス監修・晶文社)がある。他に『バンコクアソビ』(イースト・プレス)など
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