絶滅寸前の沖縄のジュゴン、国際機関が「辺野古新基地建設が脅威」と明記し警告

日本の環境保護団体からも警鐘

ジュゴンの見える丘

「ジュゴンの見える丘」からの眺め。名護市・嘉陽の浜、その先には大浦湾が見える(写真:筆者)

 沖縄でジュゴンと生息地の保護活動を長年行ってきた日本自然保護協会の安部真理子さんは「環境省の現在の姿勢では、日本の哺乳類の中で最も絶滅の恐れがある動物であるジュゴンを守ることはできない。いま本腰を入れて保護対策を進めなければ、近い将来に日本の海でその姿を見ることは不可能となることが予測できる」と警鐘を鳴らす。  そして「第一に、早急に守るべき対象であるジュゴンがどこに何頭いるのか、調査して把握する必要がある。その上で科学的根拠に基づいた保全計画を立てて実行する必要がある」と強調した。  昨年10月、米国の環境NGO「ミッションブルー」が辺野古・大浦湾一帯を「ホープスポット」(希望の海)という海洋保護区に認定した。世界の重要な海域が120か所以上設定され、日本で初めての認定となった。それを受けて日本自然保護協会は署名を展開している。ジュゴンにとって大事な海を守るため、日本政府には工事の一時中止を、沖縄県には工事周辺海域の保護を求めている。  今後、保護対策を進めるために、まずは生息状況把握のための調査、そしてジュゴンが生息できる海草藻場の分布の調査も急務だ。IUCNは今回のレッドリスト登録に加え、沖縄のジュゴンについて包括的な調査を求める提案書を日本政府、沖縄県、NGO(非政府組織)に向けて公表した。これを受けて環境省を始め各機関がどのように反応するのか、今後の動きに注目だ。 <文/幸田幸
1
2
3
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会