3.微熱や咳程度で休まない
今回話をしたジャーナリストたちが「日本人の最も改善すべき点」としたのが、「
病気をしても休まない働き方」だった。
体調不良を押してまで出社することを「美徳」とすら捉える日本の感覚は、そろそろ本気で直した方がいい。
今回感染が確認されたNTTデータの協力会社社員である20代の男性は、発熱後に肺炎と診断されて入院するまでの数日間、東京都内の勤務先まで電車で通勤。また別の感染者も、せきや発熱の症状が出た後に新幹線で出張している。
政府はこのほど「風邪症状なら学校・会社休んで」と呼びかけたが、学校はともかく仕事になれば恐らくそう簡単には休まない・休めないのが日本の“働き方”の現状だ。
実際、
共同通信によると、2月上旬に取った民間アンケートでは実に83%の人たちが「体調不良でも出社する」と回答している。
一方、2019年4月から順次施行されている「働き方改革関連法」には、働く時間や場所にとらわれない「テレワーク」の推進が盛り込まれているが、現状は多くの企業で上手く活用されているようには思えない。
それには、労務管理やセキュリティ上の問題以上に、個人的に日本には「成果」よりも「皆勤」をよしとする風潮や、「協調性」、「同調性」といった“過度なワンチーム精神”が根強くあるのが一因だと感じる。
会社は思っている以上に弱くない。自分がいなくても世の中は順調に回るもので、体調が少しでも悪いと思えば周囲の人のためにも念のため休み、必要ならば家でのテレワークで業務を続ければいい。
早めに休むことはこの時世、もはや「エチケット」でもある。
止まらない国内でのヒトヒト感染。5か月後、東京の沿道や競技場は、無事に世界中の人でいっぱいになっているのだろうか。
日本のウィルス対策は今、全世界から注目を浴びている。
<取材・文・橋本愛喜>