現在、横浜港に着岸し、船上で検疫を行っているものの日増しにCOVID-19の感染者数が増えている大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」。19日午前中から、発熱などの症状がなく、ウイルス検査で陰性だった乗客らの下船が始まったが、その下船の前に、神戸大学感染症内科教授の岩田健太郎氏が
You Tubeに投稿した動画(2020年2月20日岩田氏ご本人により削除済み)が波紋を呼んでいる。
動画の中で岩田氏は、18日に同船に乗船した際に目にした、感染症の専門家を仰天させるような状態について、克明に語っている。
専門家が驚愕したメチャクチャな船内状況と厚労省対応
ざっとまとめると、以下のような点を語っている。
●感染症の専門家から見て、驚くほど杜撰な管理状態だった。
●アフリカ(エボラ)や中国(SARS)なんかに比べても全然ひどい感染対策をしている。
●院内感染が起きているかどうかは発熱などの発症日時をちゃんと記録して、データを取って「epi-curve(エピカーブ。正式には『エピデミックカーブ』、流行曲線と呼ばれる)」というものを作ってアウトブレイクの規模やその時間経過を可視化し、分析するのだが、それすらしていない。
●SARS対策のときも中国が情報公開を十分にしてくれず大変だったが、その時のほうがマシなほど。
●感染症予防は、汚染されているエリア(レッド・ゾーン)とされていないエリア(グリーン・ゾーン)の厳密な区別が必要だが、それがまるで守られていない。つまり、ダイヤモンド・プリンセスの中はどこが危なくてどこが危なくないのか全く区別かつかない。
●PPE(防護服)やマスクは、グリーン・ゾーンに入る前にレッドゾーン内で脱ぐことが必須だが、PPEやマスクををつけたままグリーン・ゾーンに入っている人がいる。その逆(身に付けずにレッド・ゾーンに入る人)もいる。
●熱のある方がですね、自分の部屋から出て歩いて行って医務室に行ったりするっていうのが通常で行われている。
●「あ!今、患者さんとすれ違っちゃう!」と、笑顔で検疫所の職員が言っている。
●感染症の専門家にとって超非常識なこと平気で皆さんやってて、みんなそれについて何も思っていないと。聞いたら、そもそも常駐してるプロの感染対策の専門家が一人もいない。
●岩田氏(感染症の専門家)が入ることについて、非常に反対している人がいた。
●岩田氏が厚労省厚労省のトップの人に相談したが、ものすごく嫌な顔されて聞く耳持つ気ない態度を取られた。
●岩田に対してすごいムカついた人がいると、誰とは言えないけどムカついたと、だからもうお前はもう出ていくしかないんだ、って話を厚労省のやり取りをしていた担当者から言われた。
●日本政府は、ダイヤモンド・プリンセスの中で起きていることは全然情報を出していない。
この岩田氏の告発は、岩田氏だけが目撃・体験したものであり、当初、SNSなどでも判断を留保する声も見られた。
しかし、「ダイヤモンド・プリンセス号」付近で取材をしていた大袈裟太郎氏は、まさしく同じタイミングで、岩田氏の証言を裏付けるような光景を目にしていたのである。