隠された不都合な事実に目を向けるための「ご飯論法」という読み解き
不都合な事実を隠す「ご飯論法」
「ご飯論法」は2018年の新語・流行語大賞のトップテンを受賞したが、言葉だけでは中身が連想できないことから、「かえって分かりにくい」という声があった。「news23」で紹介されたあとも、「屁理屈」と言えばいいだけ、といった見方がある。しかし、それが「屁理屈」であることが一見してわからない答弁を読み解くためにこそ、「ご飯論法」という言葉が必要なのだ。「ご飯論法」という言葉は、答弁者が答えたくない「不都合な事実」に私たちが気づくことができるための、「手がかり」なのだ。「セクハラ」という言葉が生まれて初めて、「あ、これってセクハラだ」と気づけるのと同じだ。だから、一見してわかりにくくても、ぜひ「ご飯論法」とは何かを知っていただきたい。 実は、「ご飯論法」の「名手」は、加藤勝信厚生労働大臣だ。現在、新型コロナウイルスの広がりや対策の必要性について、的確な情報発信を行うことが期待されている大臣が、はぐらかしの名人であるということは、困った事態なのだが、感染拡大防止のためには、「不都合な事実」を隠さない誠実な情報発信が大事だ。それを求めていく上でも、「ご飯論法」をここで解説しておくことには、意味があると考える。【#ご飯論法 を斬る】
— NEWS23 (@news23_tbs) February 11, 2020
法政大学の #上西充子 教授を迎え、#国会 での「ご飯論法」を考えました。
朝食にパンを食べていた人が「朝ごはんを食べましたか?」と聞かれ、「(コメの)ご飯は食べていません」と答える手法。国会答弁で隠される「パン」を見抜くには?#news23https://t.co/n9fvExQmYu
「ご飯論法」とは
Q「朝ごはんは食べなかったんですか?」 A「ご飯は食べませんでした(パンは食べましたが、それは黙っておきます)」この「ご飯論法」を初めて森友問題で聞いたとき足元が崩壊する感覚に襲われた。「(文書の存在を)確認したか?」と聞いてんのに「(ルールを一般的に)確認した」と答弁。これじゃあ全ての審議前提が崩れるわ。 / “「朝ごはんは食べたか」→…” https://t.co/bnqglEsn5E
— 紙屋高雪 (@kamiyakousetsu) May 7, 2018
このやりとりのポイントは次の4点だ。 (1) 質問に誠実に答えていない (2) 聞かれたことから、あえて論点をずらして答えている (3) 不都合な事実は隠したままにして、言及しない (4) あたかも誠実に答えているかのように相手に思わせ、不都合な事実を隠していることに気づかせない 第1のポイントについて。もし誠実に答えるなら、「食べました」もしくは「パンを食べました」と答えるべきところだ。しかし、パンを食べたことは、あくまで言いたくないために、このような不誠実な答え方になるわけだ。 第2のポイントについて。聞かれているのは「朝ごはんを食べたか」なのに、あえて「ご飯(白米)」を食べてたかどうかを聞かれているかのように、勝手に論点をずらして答えている。これもパンを食べたことを言いたくないためだ。 第3のポイントについて。不都合な事実とは、この場合は、パンを食べたことだ。パンを食べたか食べていないかについては、ここでは一切言及していないことに注意していただきたい。「何も食べておりません」と答えるなら虚偽答弁になってしまう。虚偽答弁を避けながら、パンを食べていたか否かについては一切言及せず、「実はパンを食べていたのではないか」との疑念も抱かせない答え方をしているわけだ。 第4のポイントについて。「何も食べていなかった」かのように思わせることがポイントだ。もしこれが「記憶にありません」のような答え方だと、質問者に「何か食べていたはずだ」と疑念を抱かせてしまう。「何も食べていなかったんだな」と質問者に思わせることができれば、たくらみは成功したことになる。Q「朝ごはんは食べなかったんですか?」
— 上西充子 (@mu0283) May 6, 2018
A「ご飯は食べませんでした(パンは食べましたが、それは黙っておきます)」
Q「何も食べなかったんですね?」
A「何も、と聞かれましても、どこまでを食事の範囲に入れるかは、必ずしも明確ではありませんので・・」
そんなやりとり。加藤大臣は。
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