――監視社会化に対し、一部の人々は反対を表明してきたと思いますが、多くの人は無関心であったり、それを受け入れてしまったりしていますね。
木村:それは一般的な意識としてはね、恐らく治安が悪化しているように感じられるからでしょう。もう刑法犯罪の件数なんて減り続けてるわけだし、少年犯罪ももう戦後最小レベルになっている。凶悪犯罪も最小レベルでね、本当は治安が良くなっているわけです。それなのに行政やテレビのコメンテーターは「治安が悪化している」と言い続けてきた。最近では「体感治安」なんて言葉を生み出して、「犯罪の件数が減っても、やっぱり不安でしょう」と煽っている。
そうしたなかで防犯カメラなんかがどんどん受け入れられていってしまう。議会では、共産党の議員ですら反対せず、僕一人だけが反対しているようなときもありました。
でもこれは放火魔が火事場泥棒を働いているようなものですよ。ありもしない不安を煽り立てておいて、「不安でしょ?はい、監視カメラつけましょう」ってね。一般の人も、監視されていると感じて気持ち悪がったりするよりは、むしろ監視カメラがあった方が安心するというんですね。市民からはむしろ設置してほしいという要望がたくさん来るんですよ。
さっきの警察国家化の話に戻るけれども、やっぱりこの関生の弾圧が一昨年からずっとあって、あいちトリエンナーレの一件があって、参議院選挙のときには札幌で「安倍辞めろ」と野次った人が一瞬で警察に連れ去られた。昔から権力が警察国家化・監視国家化をやりたがるというところはあるんですけれども、この数年で今までと違う段階に入ってしまったと感じています。
<収録・構成/HBO編集部>