続いて、問題の広告を掲載した京都新聞の記者が自らこの問題について質問する。
京都新聞記者:「京都市長選の門川陣営の広告について先ほど「違和感を覚えた」とおっしゃったが、具体的にどういうところに違和感を覚えたのか? 」
この質問に対する回答がこれ。
福山幹事長:「
それ以上でもそれ以下でもないです。(
赤信号)
逆に京都新聞さんがあれを審査で通したことも私は不思議に思っているので逆にそのことを教えて頂きたいぐらいです。(
赤信号) 」
1段落目、直前の回答で幹事長自身が「違和感を覚えた」と言うから、その詳細を尋ねたら、返ってきた答えは「それ以上でもそれ以下でもない」。これは事実上の回答拒否(=
赤信号)であり、誠意のかけらも見えない。
さらに2段落目、以下のような論点のすり替え(=
赤信号)を行い、京都新聞に責任転嫁を始める。
【質問】福山幹事長が広告に覚えた
違和感
↓ 論点のすり替え
【回答】京都新聞が広告を審査で通した
経緯
記者はこの指摘に答えつつ、話題を野党共闘に移していく。
京都新聞記者:「その点について社内の営業に聞いた話では、選管にもOKをもらっており、会社としてどうこうという話ではないと理解している。で、国政の場での野党共闘において、共産党との関係に亀裂が生じることはありますか?」
この質問に対する回答。
福山幹事長:「
いや、国会で今、徹底的に戦ってるので、そのことはお互いわかった上で戦っていると思います。(
赤信号)」
以下のような論点のすり替え(=
赤信号)を行い、またしても福山幹事長は質問に正面から答えない。
【質問】今後の共産党との協力関係
↓ 論点のすり替え
【回答】現在の共産党との協力関係
結局、福山幹事長は問題の広告については「違和感を覚えた」と語るだけで、その違和感の詳細は決して語らず、野党共闘の影響についても頑なに答えようとはしなかった。国政では野党共闘による安倍政権打倒を掲げながら、地方選挙では自民党と同じ候補を仲良く推薦。挙げ句の果てに「共産党の市長はNO」という
野党共闘を完全否定するような新聞広告に対して、「違和感を覚えた」としか回答できない野党第一党の幹事長。
この日の約35分に及んだ定例記者会見の様子は
立憲民主党がYoutubeに公開しており、全編を視聴することができる。
福山幹事長は安倍政権の不祥事やコロナウイルスに関する話題には積極的に答えるものの、本記事で取り上げた京都市長選挙の広告に関する質疑(
上記動画の9分45秒頃〜)ではあからさまに歯切れが悪くなる様子が確認できる。さらに皮肉なことに、この会見映像では福山幹事長の背景には立憲民主党が掲げる「まっとうな政治」というスローガンが背景に映り込んでいる。
「まっとうな政治」というスローガンを背にして、「まっとうな政治」とかけ離れた記者対応をする福山幹事長。その不誠実さが鮮明になった記者会見であった。
<文・図版作成/犬飼淳>